音響測定入門
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更新 2004年11月27日

操作マニュアル

まずインストールします。インストールすれば、サンプルデータが見れます。これはサンプルデータといっても本物のデータですから、調べていくとYMCADの仕組みがわかってきます。

音響CADをある程度ご存知の方は、インストールのところにガイドがあったように、こちらからはじめてください。リファレンスマニュアルにも説明を増やしていますので、ざっと見ていただくだけでも、参考になるかと思います。

最新版2004年11月29日 ダウンロード、インストール可能。    

【注 意】 VER4.0.1.2 からはオンラインアップデートで、更新できます。それ以前の「YMCAD」は、 ショートカットなどが新しくなりますので、面倒でも旧バージョンを削除してから新たにインストールしてください。削除するには、コントロールパネルの「アプリケーションの追加と削除」でYMCADを選んで削除してください。また、Cドライブのgraphicというフォルダーも削除してください。 (注)CドライブのGraphicというフォルダーには、カードファイルや、CADの音楽ホールなどのデータが作られます。

 

  1. プログラムの起動
  2. 音線法の計算
  3. 虚像法の計算
  4. エコーダイヤ表示
  5. 室形データ
    1. 点定義
    2. 平面定義
    3. 壁面の定義
    4. 音源の登録
    5. 受音点の登録
    6. 室形ファイルの登録、読み込み
    7. 音線法の計算
    8. 虚像法の計算

プログラムの起動

起動するとユーザー登録するかどうか聞いてきますので「試用」を選択してください。プログラムが立ち上がるとインストール直後は「ウィーン音楽協会大ホール」の室形ファイルが自動的に読み込まれます。

このとき表示されるウィンドウはメインウィンドウ、室形表示ウィンドウ、コンソールウィンドウの3種類です。

<メインウィンドウ>

このウィンドウにある「拡大」「縮小」などのアイコンのある部分が「モデリング(CAD用)操作画面」(表示を拡大、縮小、回転、移動、させるためのものです) です。 こちらの機能は移植してきたもので、ワンクリックなどの動作の速さは、細かく設定できます。本来の室形の移動や回転は、マウスのドラックを使用します。マウス使用が圧倒的に便利です。左クリックからのドラッグ、右クリックからのドラッグ、操作のための座標系が出てきたら、ドラッグしてみます。簡単にできてしまえば、リファレンス室形表示ウィンドウとコンソールウィンドウ の参照の必要はありません。

<室形表示ウィンドウ>

外から見た室形が表示されます。 最新バージョンでは最大化ボタンと、元の大きさに戻すボタンが有効です。またWindowsの大きさを変化させると、室形の大きさも拡大、縮小されます。メインWindowの室形固定のチェックボックスをチェックしてあると、拡大縮小はされません。また室形初期化ボタンは、起動時の画面に戻すものです。プログラム終了させると、そのときのWindowsのサイズや、室形の大きさを覚えておいて、その状態で次は起動されます。

 

<コンソールウィンドウ>

「簡易操作画面」と表示されているウィンドウです。 この操作Windowは、前のメイン画面のCADの操作画面が、CADとしての設計目的の操作を目的に作られているのに比べて、こちらは人間の手足や目の動作を助けるために作られています。 基本的には室内での動作を目的に作られています。中に入るとか、前に進むとか、後ろに下がるとか、これはWindowsバージョンから追加された機能です。いままでのに比べて簡易な、操作画面であるからそう名づけていますが、 中に入るボタンをクリックして。室形の中に入った視線に切り替えた場合は 室内ビュー専用の操作画面として機能します。

このウィンドウの「視線の位置」で「左から見る」を選び、「中に入る」のボタンをクリックします。これはホールの中で実際にどう見えるかを表示します。このアングルを作った意味は、実際の写真とアングルをあわせたかったからです。ちなみにこの壁に色を塗ることができます。 壁の吸音率に対して色を設定できます。 吸音率に応じて、色の濃さを変えて、色分けするという考え方と、材質に色を塗り、それに吸音率を設定するという使い方ができます。見た目の問題だけですが。

これは実物の写真です。

少し下がり、写真のアングルにあわせてみました。 向かって前方にステージがあり、手前が客席です。2Fのバルコニー席を室形のほうでは、見下ろしてしまっていますから、目の高さはすこし違うようです。

 ここで、音響CADが計算するエコーダイアグラムは、インパルス応答の一部です。DSSF3は、インパルス応答をマイクを使用して、入力される信号を分析して計算しています。測定時間全般にわたり信号変化から分析計算して求められます。YMCADはそれに対して、音源と、受音点の位置と、影響するすべての壁と、その吸音率などを使用して、DSSF3のインパルス応答測定をシミュレーションして、求めます。ただ、このシミュレーションは、後部残響まではできないために、エコーダイアグラムで、インパルス応答の前半部に相当します。

 DSSF3を使用してのインパルス応答測定を、音響測定との手段としてずっと行ってくると、コンピュータで計算されるインパルス応答の正確性は確かに最重要です。これが正確でないと、音響パラメータが正しく求められないからです。そのため プログラムとしてはDSSF3は正確にインパルス応答から伝達関数を求めることができるように、最新技術を駆使してきました。ただ、インパルス応答は、 プログラム以前に、スピーカーやマイクという、電気音響を測定の入出力にダブルで使用するので、その場合、特にスピーカーの性能が、まず信号を変化させるので、また測定周波数の高い周波数については、測定に必要なエネルギーを入れることが難しく、また超低音なども、周波数特性というものの影響を強く受けます。 また、パソコンのサウンド機能の制約も受けますし、歪などの悪影響も受けます。

またここでダブルというのは、スピーカーシステムで再生(増幅、電気から空気振動)した信号(TSPなり、M系列なり)をマイクで採る(空気振動から電気信号、増幅) ことを言っています。

 一般には音響測定では以上のインパルス応答を使用して、測定して、分析しています。直接音の到着時間や、初期反射音の到着時間や、残響時間など、SAが算出する、ISOなどで定められている音響パラメーター がその結果求められます。

ところが、その音響パラメータを計算するためには、プログラム内では、音の伝播過程での、正確な時間、つまり音響での時間(実際の距離)が必要です。 たとえば、第一反射音の遅れ時間は、直接音と、第一反射音の差の時間です。また第一反射音が到着した時間から60dB減衰する時間までの時間を残響時間Tsub60として定義しています。また60dBの減衰は実際は測定不可能なので、取り決めとして、減衰を近似させて、最初の10−20dBの減衰で計算することが要求されています。

それらを計算するには、インパルス応答から、直接音や反射音の到着時間を算出することが必要ですが、それは単純ではなく、音圧レベルのエネルギー応答のデータの中から、判断しても、どれが反射音かわからないことが多く、経験や熟練が必要な作業とされてきました。DSSF3は自動でそれらのイベントの時間を計算するエクスパートシステムとしての機能を持っています。

そして、それはYMCADなどと、同じ数値を算出できるようにチューニングされています。ただ、そのデバッグは室形から計算して確かめる方法でした。ただ、YMCADは壁面を平面(局面は平面を組み合わせて作る)として取り扱いますが。DSSF3はそういう制限を受けません。

 つまり、音響信号という波の到着時刻を時間をDSSF3は自動ロジックを使用して算出しますが、より高度な使い方としては、直接音や、第一反射音などの時間(距離)をマニュアルで 必要あれば、修正入力させたり、補正させる機能などが用意されております。

これらは、インパルス応答測定は、間接的にエコーダイアグラムをシミュレーションして得ていると言っていい理由です。一方YMCADは、虚像法により、音源と受音点も経路をすべて、探索して、その中から最初の反射音の到着時間を調べます。もっとも虚像法は、すべての音線を調べます。第一反射音や、残響時間は、音響測定のパラメーターのひとつですが、それはDSSF3のインパルス応答測定の世界の到着点で、人間の耳はさらにそれより高度な音の違いを聞き分けられます。

YMCADはすべての音線を図解することにより、なずそういう音が聞こえるかの高度な音の違いの原因を調べることに使用できます。ただ、YMCADはどちらの音が音がいいかを調べることはできません。

DSSF3は、高度な高時間分解能なランニングACF測定により、たとえば、ピアノなどの音のデケイがどちらが自然か(これが違っていては、ピアノの音に聞こえない)とか、どちらが望ましいのか(プリファレンス、あるいは名器といわれるピアノの特性)を曲目(速度)との関係で調べる用途にしようできます。それにより、ホール設計の目標となる、エコータイムパターンが決定されれば、YMCADを駆使して、室形を作成することになります。

これらから、DSSF3nomotsu

    ランニングACF測定は究極の音響測定で、これがあればインパルス応答測定は必要ないともいえます。

 

操作法から、話が脱線しましたので、ここで、操作法を続けてみます。

YMCADには、大きく二つの音響CADの方法が、組み込まれています。それらは音線法と、虚像法と呼ばれています。音線法は、音源から出て行く音響信号を調べていくためのものです。この方法は、音源の特性、周波数、指向性などの情報と、音源の向き、並び方などの情報と、室形の情報からどのように音が伝播して、どういう音響特性、音の密度や、分布など、を調べます。

たとえば、コンサートホールなどでは、座席の全般で同じような大きさの音で、聞こえなくてはいけません。そのとき、周波数帯域別でも同様に、同じ大きさで、聞こえなくてはいけません。適正レベルより小さな音は、音の美しさを著しく、損ないます。

また、部屋自体が、ある残響時間などで、適正な明瞭度を持っていなくてはいけません。また客席では、聴者の右耳と、左耳に充分な音響信号を与え、脳の空間認識機能を働かせる、IACCなどを適正にしなければいけません。これを損なうと、モノラルの音になり、コンサートホールなどでのこういう状況は、方耳の前に大きな障害物があるような感覚や、体の正面から来る音のみを聞いてるような、非常に不満や、ストレスの大きな音として感じさせます。

そのため、壁には、位置や、向きなどを組み合わせて、充分な音の反射率の材質で、客席に音が集まるように設計します。また浮雲や、音響付加物などを加えて、周波数帯域ごとの音の減少を防ぎ、響きや広がりを補正します。室形のみでは、周波数ごとの細かな補正までは難しいので、また音声信号などの人間の一番敏感な高域信号などは、客席の上を、通過していくときに非常に距離減衰しやすいので、(これは会話の時には、高都合、近くの音しか聞こえないという好都合があります)。これは最も重要な周波数帯域の音の大きさが座席の後部にいけばいくほど、著しく、損なわれるので、コンサートホールなどでは致命的で、これを補うために、客席を傾けて後部に行くほど高くしたり、室形を工夫して、4方向に拡散した、音をまた壁や、反射板で、客席方向に集めます。このとき、大きな壁だけでは、低音まで集めてしまい。高域が足りないのがまた助長されます。そのため、高域は音の波の周波数が高く、波長が短い特性を利用して、壁の面積を小さな壁の組み合わせで工夫したり、低域は除き、広域のみを反射して集める、音響付加物や、浮雲を使用します。

いずれにせよ、コンサートホールの室形は、たくさんの壁面で、複雑な形になります。

(2004年11月27日ここまで)

 

音線法の計算

 

 

音源の設定はもともとの設計では、それまでの音場シミュレーションは音源がひとつということで計算するタイプでした。その場合、音源が小さい場合はよかったのですが、オーケストラのような、大きな音源になってくると、正確さにかけました。

また、音源を分割して、シミュレーションを行っても、一つ一つのシミュレーションはできても、組み合わさった合計のシミュレーションとなると、やはり、複数音源が扱える機能が必要でした。そのため、計算条件が、いくらでも保存でき、自由に呼び出せる機能に音源の情報として、登録していく、データの階層構造が深くなりました。たとえば1音源で、ステージの中央にピアノがあってとかで、シミュレーションを行う場合には、非常に簡単です。ピアノという音源を音源に名前をつけ登録して、それを音源群として登録します。またそれを計算条件として、方向や、計算時間、向きなどの条件と同時に登録、計算保存しておきます。

このウイーンの例などは、音源登録で、室形のステージに当たる部分に、音源群のすべてが登録されています。そのため音線法計算を選択すると、すべての音源群がリスト表示され選択可能になります。

また音源群にはすでに音源としてそれぞれの音源NOが与えられ、この場合はオーケストラなどの編成での、バイオリンや太鼓や、ホルンなどそれぞれ異なる音響特性を持った音源として扱うための設定がされています。

YMCADはコンサートホールのみでしたら、まだシンプルだったのですが、音響設計の対象物が広がり、大規模なドームなどの電気音響などのシミュレーションを行うために、階層構造をさらに増やしました。つまり、従来のピアノや、太鼓にスピーカーを置き換えて、さらにクラスタースピーカーも行えるように、強化しました。

これは単純にスピーカーだけに置き換える段階で、スピーカーユニットとしての指向性や、周波数特性が指定できること、ただしこれは、楽器でも同様ともいえます。

ただ、4Wayで、高音のツーイーターが数本でいろんな方向を向いてる場合のシミュレーションになると、またそれらがいろいろな場所に配置されるとなると、単純にホールの室形の決定だけのためと考えると、なぜこんな複雑なことをさせるのかということになると思います。

ただ、この音源群に音源が複数個でも設定でき、音源単位にいくつでも追加できるので、考え方としては、音源が平面に並べられるのではなく、3次元の空間にそれぞれ向きと周波数特性を持って配置できるように、したことになります。ただし、電気音響的な使い方が主ですから、今までの音源群に複数個、音源として追加できる方式で操作します。

コンサートホールの設計から始まり、大規模空間の音響特性のシミュレーションや、航空機騒音や、地下鉄などの環境騒音のシミュレーションにも使用できます。YMCADの超精密なシミュレーション機能といえましょう。 

 操作を簡単にし、機能を簡単にするのは、理想ですが、何でもできて、精密さや機能の妥協をしないことが前提です。 プログラムが巨大で難しく、複雑でになりましたが、もともと最先端開発用ソフトですから、どちらにしろそちらに進むのはよかったと思います。YMCADにとって、ソフトとして長く使われ、生き延びるためには、マルチパーパスな音響CADのソフトにならないといけないからです。 とにかくソフトとして役に立たないと意味がないのです。今は機能的には充分ですが、複雑になってる、信頼性が落ちている状態といえます。今が安定させたり、使いやすくするときです。

音線法の計算については、その計算条件、

次に音線法の計算を行ってみましょう。あらかじめ設定済みのため、最新バージョンは、何もすることはありません。なにか変更してやってみるとしても必要なパラメータだけの変更で済みます。

 現在の設定は、*全方向GC10−HC10 の音線法の表示を行っています。GC10を音源群のコードとして、HC10を音源のコードとする名前の付け方は1音源群が1音源で構成の例です。 これはシンプルで、音源群などという機能などなくてもシミュレーションできる例です。

ここで*マークはすでに計算済みの印です。そのため、音線法も表示の操作パネルで、この設定で、すでに表示されていますし。計算済みの計算条件を選択してその表示に切り替えることもできます。

音源群リストから音源群を選択して、マウス左クリックすると音源群が選択され、その音源群から選択できる音源がとなりの音源リストに表示されます。音源リストに表示されている音源から追加する音源を選択して音源追加ボタンをクリックすると、その音源が計算対象音源に追加されます。

ここで、計算条件コメントの欄に (例) 全方向GC10−HC10 などと、書き込みその他、の条件をい確認し、この場合は、サンプルと同様に、発射方向に全方向を指定して、最大飛行時間は10秒としています 。また温度は24度C。湿度60パーセント、音線の密度は5度、立体角は90度、平面内回転角は0度。発射方向の垂直方向分は0度、同水平方向も0度としておきます。以上の計算条件で計算条件登録ボタンをクリックします。 

最後に 計算開始ボタンを左クリックして、計算を行えば、計算済みの*マークがついて計算条件一覧のテーブルに表示されます。

 

2004年11月29日更新ここまで

 

このあと、計算条件一覧から「全方向GC10-HC10」を選び計算開始ボタンをクリックすると、計算開始メッセージと計算終了メッセージが出ます。これで音線法の計算そのものは終わりましたので音線法計算ダイアログを終了させます。

計算結果を表示するためには音線法メニュー」→「音線法透視図」を選択すると音線法透視図ダイアログと透視図・天空図コントロールダイアログが表示されます。

先ほどの「全方向GC10-HC10」を選択し、計算結果読み込みボタンをクリックします。読み込み終了のメーッセージが出たら透視図・天空図コントロールダイアログで、反射次数の0次だけボタンを押し1〜4次をオフにした状態で透視図表示をクリックします。全部赤の線(直接音のみ)が表示されます。

反射次数で、1次だけボタンを押し0と2〜4次をオフにした状態で透視図表示を選びます。全部白の線です。1次反射音だけの場合です。

また、反射次数で2次と3次だけボタンを押し0、1、4次をオフにした状態で透視図表示を選びます。黄色の線は2次反射で到達する音線です。ピンクは3次反射で到達する音線です。

虚像法の計算

音線法と同じようにして虚像法の計算をすることもできます。「虚像法メニュー」→「虚像計算」を選択します。ここでは音源群をGC10、受音点をF11A、計算条件名を「GC10-F11A」とし、最後に計算条件登録ボタンをクリックします。

このあと、計算条件一覧から「GC10-F11A」を選び計算開始ボタンをクリックすると、計算開始メッセージと計算終了メッセージが出ます。これで虚像法の計算そのものは終わりましたので虚像法計算ダイアログを終了させます。

計算結果を表示するためには虚像法メニュー」→「虚像法透視図」を選択すると虚像法透視図ダイアログが表示されます。

先ほどの「GC10-F11A」を選択し、計算結果詳細表示ボタンをクリックします。読み込み終了のメーッセージが出たら音源群から「GC10」を選択し、読込みボタンをクリックします。その後、透視図コントロールボックス表示ボタンをクリック、さらに表示された虚像法透視図コントロールボックスダイアログで表示ボタンを」すると虚像法透視図が表示されます。

エコーダイヤ表示

虚像法透視図によって「ある受音点に集まる音線」を知ることができますが、さらに「いつ、どのくらいの音圧なのか」も知ることができます。これらをわかりやすく表示する方法がエコーダイヤ表示です。

虚像法メニュー」→「エコーダイヤ表示」を選択するとエコーダイヤ表示ダイアログとエコーダイヤコントロールボックスダイアログが表示されます。

エコーダイヤ表示ダイアログで先ほどの「GC10-F11A」を選択し、計算結果詳細表示ボタンをクリックします。読み込み終了のメーッセージが出たら音源群から「GC10」を選択し、読込みボタンをクリックします。さらにエコーダイヤコントロールボックスダイアログで表示ボタンを」するとエコーダイヤグラムが表示されます。

 

音源について

 

 ここでは、まず音源の機能を調べてみます。サンプルデータは、すでに全部の情報が登録されていますから、音線法は、音源からの音の放射をしらベルものです。音源から全方位に発射された音は、壁に当たり吸音されて反射して、 次々と、壁に向かっていきます。これを表示させて、室形を調べるためです。

まず必要な作業は、音源の決定です。この場合、最初から音源情報はあるはずですから、調べてみます。それには

「編集メニュー」→「音源」→「修正」と選び、音源群リストからたしか中央のGC10を選択して編集ボタンを押します。

この室形画像の表示から、GC10という音源の位置や情報が確認できました。(赤色で表示されているのがGC10と呼ばれる音源群の位置です) この場合やはりステージの中央、客席のまん前です。この操作で、音源群の中から、GC10が選択されました。音源群というのは、複数音源で、1音源群として扱えるという意味です。ただ、通常音響では、音源といいます。また音源を構成する、複数要素が定義して、運用できるように設計されてるため、YMCADでは、音源と、音源群という言葉を使用しています。確かに正確には、これでいいかもしれません。スピーカーに対するクラスタースピーカーのように、音源に対するクラスター音源? この場合はGC10という名前で設定されてる音源情報を選択しました。

音線の発射、反射をシミュレーションするためには、そういう色で、描くとか。発射の角度、方向とか、このシステムはいろいろなことが可能ですから、まずどういう設定があり、今何が選択されているか?見てみます。

シミュレーションするためには、計算が必要です。

そのためには、音源群登録/修正のダイアログの終了を選ぶと音源群の情報が消え、その後コンソールウィンドウの「外に出る」のボタンをクリックします。

「音線法メニュー」→「音線法計算」を選ぶと音線法計算ダイアログが表示されます。 

(参考)リファレンスマニュアル 音線法計算ウィンドウ  

 


このシステムは、テキストデータファイルで、各種情報を入力することができます。
慣れれば簡単です。見やすくなってはいませんが、資料を添付します。

室形データ

■ YMCADへのデータの読み込みと室形表示カードデータファイルを作成してから、YMCADで読み込んで表示するまでの流れは次のとおりです。

空間音響情報

YMCADでは「固定面」「可動面」「音源」「受音点」の音響空間情報をコンピューター内部ではデータベース化しています。これらのデータはAutoCADなどのDXファイルから入力するか。テキストファイルから入力します。

■ 固定面情報は、「点の定義」、「平面定義」、「壁面定義」の順番で登録していきます。

しかし、最終的に必要な点は、壁面定義で、必要な、平面定義、それに必要な点です。しかし、別に多く登録しても悪くはないので、点の登録は名称とXYZ座標の登録です。点は面を定義するために必要な点で立体の角を表す点ではありません。

順番としては、

  1. 点を定義
  2. 次に通常3点(前に定義した)を使用して平面定義
  3. この平面を27個以内囲み面に使用して壁面を定義します。

1.点定義

点名称、座標、画像で、定義します。

2.平面定義
平面は3つの点をとおるということで定義できます。ただ、ある部分がXYZに平行ならば、2つの点、1つの点で定義することもできます。通常は異なる3点で定義されます。

平面名称

画像S5 平行コード

点名称1.、点名称2.、点名称3.で、定義します。

3.壁面の定義

このシステムは平面を平面と交差させることにより、お互いでお互いの平面を切り取ります。複数の面で囲んで、壁面を定義します。その場合ひとつの壁面は27角形以内の平面です。27面以内の囲み面によってきることで作られています。壁面単位に吸音率などの属性データを持っています。壁面は音響付加物、拡散板、音響反射板のような「可動面」(効果をシミュレーションするために動かすものとして別扱い)と、通常の「固定面」です。

壁面名称、面群コード、回り方、囲面の数、囲面名称1.、囲面名称2、囲面名称(27までの必要数)

3-1. 固定面の登録

固定面とは、コンサートホール等の室形を構成する面のことです。固定面の登録は、簡単な室形ならばテキストファイルから作成することが可能です。この場合、最初に全体的な室形についてのデータを作成し、後から細かい部分を追加していく、というのが一般的です。

また、室形が複雑な場合(一般的にはそうなるのが普通ですが)は、CADソフトで設計し、その出力データをYMCADに取り込むこともできます。

以下は、テキストファイルから作成する場合について述べます。仮に、次のような室形の固定面を登録する場合を考えてみます。

室形を横側から見た図です。左側がステージ、右側が客席となっています。客席の後方はステージを見えるようにするため傾斜させています。

同じ室系を上から見た図です。太線のうち、横線はX軸、縦線はY軸に相当します。なお、Z軸は室形の高さを表します。

上記のような室形を登録するには、平面定義点の登録→平面の登録→壁面の登録の順にテキストファイルに記述します。

(1)平面定義点の登録

「平面定義点」とは、言葉の通り「平面を定義(特定)するための点」という意味です。室形の各頂点とは少し意味が違います。すべての頂点を登録する方法も考えられますが、『X軸/Y軸/Z軸に平行な平面』という概念を導入することにより、定義する点の量を減らすことができます。例えば、最も単純な直方体の場合、2点を定義するだけで済ますことができます。

上記直方体の場合、(0,0,0)と(5,4,3)の2点を平面定義点として登録するだけで、すべての面を定義(特定)することができます。例えば、

(a)『下側の面(底面)』は、「X軸とY軸に平行、かつ(0,0,0)を通る面」
(b)『右側の面(右側面)』は、「Y軸とZ軸に平行、かつ(5,4,3)を通る面」

というように定義(特定)することができます。上記以外の面についても同様に定義することができます。

逆に言えば、X軸、Y軸、Z軸のすべての軸に対して平行でない面を定義するためには3つの平面定義点を必要とします。

さて、最初にあげた室形の場合、必要な平面定義点は以下のようになります。

上図にあるP0001からP0006(P0003を除く)までの5つの平面定義点を与えてやればすべての面を定義することができます。もちろん、平面定義点が必要以上にあっても(矛盾がない限り)問題ありません。例えば、上図におけるP0000、P0003の平面定義点は(厳密には)必須ではありません。(P0000、P0003の代わりに別の点を使って同じ平面を定義できるためです)

P0000からP0006の座標の値(例)を以下に示します。単位はメートルです。

点名称 X座標 Y座標 Z座標
P0000 0.00 0.00 0.00
P0001 20.00 5.00 8.00
P0002 10.00 -5.00 0.00
P0003 10.00 5.00 0.00
P0004 20.00 0.00 1.50
P0005 0.00 0.00 2.00
P0006 4.00 0.00 2.00

(2)平面の登録

前項の平面定義点を用いて、室形のすべての平面(上図の例では計9面)を登録します。平面定義点のところで触れましたが、通常ある平面を定義(特定)するためには3つの平面定義点が必要です。しかし、ある平面がX軸、Y軸、Z軸のいずれ1つ、または2つに平行な面を定義する場合、平面定義点はそれぞれ2つ、または1つで済ますことができます。

例えば、「天井」を含む平面を定義するには、その平面がX軸とY軸に平行なため、Z座標(高さ)を示す平面定義点(上図のP0001)さえわかればよいことになります。

このようにしてすべての平面を平面定義点を用いて定義すると次のようになります。

平面名称 平行性状コード 点名称1 点名称2 点名称3 備考
H0001 110 P0002     床、客席、前方
H0002 110 P0001     天井
H0003 101 P0002     壁、手前
H0004 101 P0001     壁、奥
H0005 011 P0005     壁、ステージ、後方
H0006 011 P0001     壁、客席、後方
H0007 010 P0002 P0004   床、客席、後方
H0008 110 P0005     床、ステージ
H0009 011 P0006     壁、ステージ

なお、平行性状コードは3桁の0または1で表され、次のような値となります。

(a)1桁目はある平面がX軸に平行な場合”1”、平行でない場合”0”とします。
(b)2桁目はY軸について(a)と同様です。
(c)3桁目はZ軸について(a)と同様です。

(3)壁面の登録

前項の平面の登録は、あくまでも「ある壁面を含む平面」を登録しただけで、実際の壁面そのものを登録したわけではありません。例えば、上記のH0002は「天井を含む平面」を表しているのみで、「周囲の平面に囲まれた天井そのもの」を定義しているわけではない、ということです。

そこで、「周囲の平面に囲まれた壁面そのもの」を登録する必要があります。これは、上記の説明でもだいたいわかるとおり、「壁面を含む平面」と「その壁面を囲む(切り取る)平面」を登録してやればよいことになります。例えば天井の場合は、「壁面を含む平面」としてH0002、「その壁面を囲む(切り取る)平面」として、H0003、H0005、H0004、H0006を登録することになります。

別の例をあげれば、例えば手前側の壁の場合は「壁面を含む平面」としてH0003、「その壁面を囲む(切り取る)平面」として、H0002、H0006、H0007、H0001、H0009、H0008、H0005を登録します。

同様にして、すべての壁面を定義すると次のようになります。なお、どの壁面がどの部分に相当するかは前項の図を見て頂ければわかると思います。(例えば壁面W001は平面H0001に対応しています。他の面についても同様となっています)

壁面
名称
主平面
名称
吸音材
コード
面群
コード
(注) 囲み
面数
囲み面名称
W001 H0001 Q055 WG001 0 4 H0003 H0009 H0004 H0007
W002 H0002 Q055 WG002 0 4 H0003 H0005 H0004 H0006
W003 H0003 Q055 WG003 0 7 H0002 H0006 H0007 H0001 H0009 H0008 H0005
W004 H0004 Q055 WG004 1 7 同上
W005 H0005 Q055 WG005 0 4 H0002 H0003 H0001 H0008
W006 H0006 Q055 WG006 1 4 H0002 H0003 H0007 H0004
W007 H0007 Q055 WG007 0 4 H0003 H0001 H0004 H0006
W008 H0008 Q055 WG008 0 4 H0003 H0005 H0004 H0009
W009 H0009 Q055 WG009 1 4 H0003 H0001 H0004 H0008

(注)囲み面の回り方コード

(a)吸音材コード

その壁面に使用されている吸音材の種類をコードで指定します。吸音材の種類とコードの対応は「設定メニュー」の「吸音材一覧(設定)」のところで登録、変更することができます。YMCADでは、あらかじめ主な吸音材を登録済みですのでそれから選択することも、また新たな吸音材を登録することも可能です。

(b)面群コード

1つ以上の壁面を論理的にグループ化し、それに対して「面群コード」という論理的なコードをつけることができます。音線法の計算において、ある面群のみに対して音線法を計算することができるようになっています。

(c)囲み面の回り方コード

ある壁面を定義する場合、囲み面(その壁面を囲む平面)を複数登録しますが、その記述順序が(対象となる壁面を室外から正面に見て)時計回り方向ならば”0”、反時計回り方向ならば”1”を指定します。

(4)テキストファイルの記述

今までの平面定義点、平面、壁面を1つのテキストファイルとして記述します。使用している値は今までの記述と同じものを使用しています。

ファイル作成時の注意点を以下に示します。

(a)ファイル名、収容フォルダ名

ファイル名は、”JWXXFX00.TXT”(変更できるのは’W’と’00’の部分のみです)、ファイルの置き場所は”C:\grapfic\card\fx\”配下となります。

(b)記述内容

1つのファイルにヘッダ情報(’$’で始まる部分)、平面定義点、平面、壁面の順に記述します。平面定義点、平面、壁面の定義終了を示すために”999”を記述します。

(c)コメント

先頭のカラムが’C’で始まる行はコメント行とみなされます。

3-2.音源の登録

固定面を登録したら、次は音源を登録します。登録するデータは(個々の)音源と、1つ以上の音源をグループにした音源群の2段階に分けて登録します。もちろん、1音源群=1音源でも構いません。なお、音線法では個々の音源単位に計算するのに対し、虚像法では音源群単位に計算します。

例として、1項で使用した固定面のステージ上に、3つのスピーカー(左、右、中央)を設置する場合を示します。

(1)音源群の登録

音源群を登録する場合は、音源群コード、コメント、音源数、音源座標(X,Y,Z)、向きベクトル(の座標(X,Y,Z))、指向方向軸回転角、発射時刻(ms)を指定します。

音源群
コード
コメント 音源数 音源座標
(X,Y,Z)
向きペ
クトル(X,Y,Z)
指向方向
軸回転角
発射時間
GC01 中央 1 (2.00,0.00,2.50) (3.00,0.00,2.50) 0 0
GL01 左側 1 (2.00,-3.00,2.50) (3.00,-3.00,2.50) 0 0
GR01 右側 1 (2.00,3.00,2.50) (3.00,3.00,2.50) 0 0

単純にするため「指向方向軸回転角」「発射時間」ともゼロにしてあります。なお、「向きベクトル」の値については、「音源座標」を基準として、どちらの方角に向いているか、ということを示しており、上の表のようにX軸の値のみ変化させれば、『真正面を向いている』ということになります。

(2)音源の登録

(音源群の中の)各音源を登録する方法には、指向方向を水平垂直角度(α,β)で指定する方法と、座標(X,Y,Z)で指定する方法の2通りがあります。

(2)-1 水平垂直角度による音源の登録

(音源群の中の)各音源を登録する場合は、音源コード、(属する)音源群コード、コメント、スピーカーコード、位置座標(X,Y,Z)、指向方向(α,β)、指向方向軸回転角、音源パワー(W)、発射時刻(ms)を指定します。

音源
コード
音源群
コード
コメント スピーカーコード 位置座標
(X,Y,Z)
指向方向
(α,β)
指向方向軸
回転角
音源
パワー
発射
時刻
HC01 GC01 中央 001 (0,0,0) (0,0) 0 10.0 0
HL01 GL01 左側 001 (0,0,0) (0,0) 0 10.0 0
HR01 GR01 右側 001 (0,0,0) (0,0) 0 10.0 0

1音源群=1音源としているため「位置座標」「指向方向」ともゼロとなります。また、単純にするため「指向方向軸回転角」「発射時刻」はゼロにしてあります。なお、「スピーカーコード」の値はYMCADでは、あらかじめ主なスピーカーを登録済みですのでそれから選択することができます。また新たなスピーカーコードを登録する場合は”C:\grapfic\master\”配下に”SPI001.PWL”(スピーカーコード#001に関するデータ)等のファイルがありますので、これらをもとに新たなスピーカーコードを登録することもできます。

(2)-2 座標による音源の登録

(音源群の中の)各音源を登録する場合は、音源コード、(属する)音源群コード、コメント、スピーカーコード、位置座標(X,Y,Z)、指向方向(X,Y,Z)、音源パワー(W)、発射時刻(ms)を指定します。

音源
コード
音源群
コード
コメント スピーカーコード 位置座標
(X,Y,Z)
指向方向
(X,Y,Z)
指向方向軸
回転角
音源
パワー
発射
時刻
HC01 GC01 中央 001 (0,0,0) (0,0,0) 0 10.0 0
HL01 GL01 左側 001 (0,0,0) (0,0,0) 0 10.0 0
HR01 GR01 右側 001 (0,0,0) (0,0,0) 0 10.0 0

1音源群=1音源としているため「位置座標」「指向方向」ともゼロとなります。また、単純にするため「指向方向軸回転角」「発射時刻」はゼロにしてあります。なお、「スピーカーコード」の値はYMCADでは、あらかじめ主なスピーカーを登録済みですのでそれから選択することができます。また新たなスピーカーコードを登録する場合は”C:\grapfic\master\”配下に”SPI001.PWL”(スピーカーコード#001に関するデータ)等のファイルがありますので、これらをもとに新たなスピーカーコードを登録することもできます。

(3)テキストファイルの記述

今までの音源群、音源を1つのテキストファイルとして記述します。使用している値は今までの記述と同じものを使用しています。

(3)-1 水平垂直角度による音源の登録

(3)-2 座標による音源の登録

ファイル作成時の注意点を以下に示します。

 (a)ファイル名、収容フォルダ名

 ファイル名は、”JWXXSG00.TXT”(変更できるのは’W’と’00’の部分のみです)、ファイルの置き場所は”C:\grapfic\card\sg\”配下となります。

 (b)記述内容

 1つのファイルにヘッダ情報(’$’で始まる部分)、音源群、(その音源群の中の)各音源の順に記述します。定義終了を示すために”999”を記述します。

 (c)コメント

 先頭のカラムが’C’で始まる行はコメント行とみなされます。

3-3.受音点の登録

固定面、音源を登録したら、次は受音点を登録します。

例として、1項で使用した固定面のステージ上に、4つのス受音点(左前、右前、左後、右後)を設置する場合を示します。

(1)受音点の登録

受音点を登録する場合は、受音点コード、受音点種類コード、コメント、水平指向性コード、垂直指向性コード、位置座標(X,Y,Z)、向きベクトル(の座標(X,Y,Z))、指向方向軸回転角を指定します。

受音点
コード
受音点種
類コード
コメ
ント
水平指向
性コード
垂直指向
性コード
位置座標
(X,Y,Z)
向きベ
クトル(X,Y,Z)
指向方向
軸回転角
F001 D001 左前 L002 M002 (6.00,-3.00,1.00) (2.00,0.00,2.50) 0
F002 D001 右前 L002 M002 (6.00,3.00,1.00) (2.00,0.00,2.50) 0
F003 D001 左後 L002 M002 (16.00,-3.00,2.00) (2.00,0.00,2.50) 0
F004 D001 右後 L002 M002 (16.00,3.00,2.00) (2.00,0.00,2.50) 0

「受音点種類コード」(D001=無指向性)、「水平指向性コード」(L002=無指向性)、「垂直指向性コード」(M002=無指向性)の値については、通常上記の値で構いません。また、単純にするため「指向方向軸回転角」はゼロにしてあります。

また、「向きベクトル」の値については、「位置座標」を基準として、どちらの方角に向いているか、ということを示しており、上の表のように1点(ステージ上の中央)を指定すれば、すべて『ステージの中央を向いている』ということになります。

(2)テキストファイルの記述

上記の受音点を1つのテキストファイルとして記述します。使用している値は今までの記述と同じものを使用しています。

ファイル作成時の注意点を以下に示します。

(a)ファイル名、収容フォルダ名

ファイル名は、”JWXXRP00.TXT”(変更できるのは’W’と’00’の部分のみです)、ファイルの置き場所は”C:\grapfic\card\rp\”配下となります。

(b)記述内容

1つのファイルにヘッダ情報(’$’で始まる部分)、各受音点の順に記述します。定義終了を示すために”999”を記述します。

(c)コメント

先頭のカラムが’C’で始まる行はコメント行とみなされます。

3-4.室形ファイルの登録、読み込み

ここまでで、固定面、音源、受音点を登録するための各ファイルができました。これらを組み合わせて、室形ファイルを作成する手順を示します。

(1)カードファイル変換

今まで作成したファイル(固定面、音源、受音点)は「カードファイル」と呼ばれるテキストファイルです。これをYMCADが読み込むことができるファイル形式に一旦変換する必要があります。変換は、各ファイル単位(固定面、音源、受音点)に行います。

「ファイルメニュー」の「室形ファイル管理」で表示されるダイアログの中に、『カードファイル変換』というボタンがあり、このボタンをクリックすると次のような画面が表示されます。

この場合、「作業用」という固定面のファイルをコンバートしようとしています。入力ファイル名は一番左側の列に表示されています。また、出力ファイル名は右上の方に表示されています。

ここで、『コンバート開始』のボタンをクリックすると変換が開始されます。固定面の変換が終了したら、同様にして音源群、受音点についても同様に変換します。

固定面、音源群、受音点の変換がすべて終了したら『終了』ボタンをクリックします。

(2)室形情報ケース登録

次に、(1)でそれぞれ変換したファイルを1つの「室形」として登録する必要があります。

「ファイルメニュー」の「室形ファイル管理」で表示されるダイアログの中に、『ケース登録』というボタンがあり、このボタンをクリックすると次のような画面が表示されます。

この画面で、固定面、受音点、音源群をそれぞれリストの中から選択し(右側にある▼をクリックするとリストが表示されます)、(室形の)「名称」を確認したら『登録』のボタンをクリックします。

これで、室形が登録されましたので、『終了』ボタンをクリックします。

(3)室形ファイル読み込み

ここまで、すべて終われば(2)で作成した室形ファイルを読み込みます。

「ファイルメニュー」の「室形ファイル管理」を選択するとYMCADに登録されているすべての室形ファイルが表示されますので、その中から目的の室形を選択し『読込み』のボタンをクリックすると、ファイルが読み込まれ、室形が画面に表示されます。(この画面の様子は固定面の登録のところにある最初の画面を参照してください)

3-5.音線法の計算

(1)音線法とは?

音線法とは、ある音源から発射される音の様子を「線」でわかりやすくしたものです。また、音は壁面で反射しますが、この反射の様子を見ることができます。

上の画面は、(3つの音源のうちの)中央の音源から、音をすべての方向に発射したときの音線法透視図です。画面が煩雑になるため、この場合は2次反射の音線までしか表示しないようにしています(赤線=1次反射、白線=2次反射)が、YMCADでは最大5次反射の音線まで表示することができます。

次に、YMCADで音線法を計算するときに、変更できるパラメータ(計算条件)を説明します。例えば、前述の「中央の音源から」、「すべての方向に発射」、「2次反射まで」等はすべてこのパラメータに相当しますので、パラメータをいろいろ変えて音線法を計算することができます。(例えば、2次反射までではなく、5次反射までの様子を知ることもできます)

(2)変更可能なパラメータ

「音線法メニュー」の「音線法計算」を選択すると次のような画面が表示されます。

この画面で選択、変更等が可能なパラメータとその意味を以下に示します。

(a)発射方法

音源から音を発射する方法を選択することができます。

(ア)全方向

通常の状態で音源から音を発射します。従って、指向性にもよりますが音源の後方に対しても音が発射されます。

(イ)壁面

音源から音を「指定された壁面」のみに対して発射します。「壁面」のボタンをクリックすると「壁面リスト」が表示されますので選択してください。

(ウ)面群

音源から音を「指定された壁面群」のみに対して発射します。「面群」のボタンをクリックすると「面群リスト」が表示されますので選択してください。なお、面群(壁面群)の指定方法については固定面の登録の(3)壁面の登録の部分を参照してください。

(エ)立体角

音源から音を「指定された角度の円錐内」のみに対して発射します。角度の指定は「立体角」のボタンの下の部分に『立体角』というバーがありますので選択してください。

(オ)平面内

音源から音を「指定された平面上」のみに対して発射します。平面の指定は「平面内」のボタンの下の部分に『平面内回転角』、『発射方向 垂直方向』、『同 水平方向』というバーがありますので選択してください。

(例)わかりやすい例として、発射方向を「壁面」とし、対象壁面を客席後方の壁面にした場合の音線図を次に示します。発射方向以外のパラメータは(1)の例と同じにしてありますので違いがよくわかります。

(b)最大飛行時間、温度、湿度

音源から発射される音の最大飛行時間、および計算時点の温度と湿度を範囲内から選択することができます。

(c)音源群リスト、音源リスト

音線法計算の対象とする音源を選択することができます。なお、音線法の場合は音源群の中の各音源ごとに計算されます。対象とする音源群と音源を選択し、「音源追加」のボタンをクリックすると「計算対象音源」の部分に登録されます。

(d)最大反射回数

音源から発射される音が壁面にあたって反射する回数を選択することができます。1次から5次まで選択可能です。なお、1次=音源からの直接音線、2次=1次+壁面に1回反射した音線、以下5次まで同じようになります。

(3)音線法の計算と音線法透視図の表示

前項のパラメータを設定したら、「計算条件コメント」に適切な名称を指定して「計算条件登録」のボタンをクリックします。これにより、パラメータが保存されます。

次に、「計算条件一覧」から今登録したものを選択し、「計算開始」のボタンをクリックすると音線法の計算が開始されます。(このとき計算開始と計算終了のダイアログが表示されます)

計算終了のダイアログを確認したら、一旦現在のウィンドウを閉じて、「音線法メニュー」の「音線法透視図」を選択し、表示された画面の「計算結果一覧」から該当するものを選択しダブルクリックすると、先程の計算結果が読み込まれ、利用できるようになります。その後、「透視図表示」のボタンをクリックすることにより、音線法透視図が表示されます。

(4)音線法透視図における表示モード

音線法透視図では次のような表示モードが用意されており、表示モードを切り替えていろいろな視点から結果を分析することができます。

(a)「軌跡」/「反射点」

デフォルトでは「軌跡」(音線)が表示されます。「反射点」を選択し、再度「透視図表示」のボタンをクリックすると軌跡(音線)の代わりに、壁面上の反射点のみが表示されます。

この場合、赤色が1次反射点(この場合音源そのものを指します)、白色が2次反射点です。

(b)「音源」/「反射次数」/「壁面」

これは軌跡、または反射点の色分けの基準を選択することができます。デフォルトでは「反射次数」が選択されています。(1次反射=赤色、2次反射=白色)

「音源」を選択した場合は軌跡、または反射点の色分けを音源毎とします。(音源毎に割り当てられている色については「設定メニュー」の「環境の設定」で確認、変更することができます)

「壁面」を選択した場合は軌跡、または反射点の色分けを壁面毎とします。(壁面毎に割り当てられている色についても「設定メニュー」の「環境の設定」で確認、変更することができます)

(c)「反射次数(0〜4)」

デフォルトでは、「音線法計算」のところで指定した「最大反射回数」のすべての軌跡、または反射点が表示されますが、特定の次数のもののみを表示することもできます。

(5)天空図の表示

音線法透視図のほかに天空図で反射点の位置を分析することができます。天空図とは、指定された受音点の位置から魚眼レンズで上下、左右、前後を眺めたイメージを表したものです。音線法透視図を表示後、以下の順に操作することにより、天空図が表示されます。

(a)「天空図 画面」のボタンをクリック
(b)表示された受音点リストから対象とする受音点を選択
(c)方向(上下、左右、前後)と対象とする半球(片方、両方)をボタンにより選択
(d)最後に「天空図 表示」のボタンをクリック

次の天空図は、上記(4)の(a)の音線法透視図を、「受音点F001(左前席)」、「前後方向」、「後半球」の条件で表示したものです。(白色の三角が2次反射点、それを含む壁が客席後方の壁面を表しています)

3-6.虚像法の計算

(1)虚像法とは?

虚像法は前項の音源法とは逆に、ある受音点へどのような音が届くのかを分析することができます。どの音源群からの音なのか?、何次反射の音なのか?、などを知ることができます。

例として、(3つの音源群のうちの)中央の音源群から、(4つの受音点のうちの)左前の受音点に対して、どのような音が届くのかを計算した結果を示します。なお、最大反射回数は3としています。(3回の反射までを対象としています)

上の図から、この受音点には音源群から直接到達する音(赤色)と、壁や天井に1〜3回反射した音(それぞれ白色、黄色、紫色で表されています)の計4種類の音が図のような経路で届くことがわかります。さらに、音が届くまでの時間や、音の強さなども知ることができます。

次に、(音線法の場合と同様に)YMCADで虚像法を計算するときに、変更できるパラメータ(計算条件)を説明します。

(2)変更可能なパラメータ

「虚像法メニュー」の「虚像法計算」を選択すると次のような画面が表示されます。

この画面で選択、変更等が可能なパラメータとその意味を以下に示します。

(a)音源群

どの音源群からの音を計算の対象とするかを選択します。なお、虚像法では(音源群の中の)個々の音源までは指定できません。

(b)受音点

どの受音点を計算の対象とするかを選択します。

(c)反射次数

音源群から発射される音が壁面にあたって反射する回数を選択します。1次から5次まで選択可能です。なお、1次=壁面に1回反射した音線、以下5次まで同じようになります。

(d)最大飛行時間、温度、湿度

音源群から発射される音の最大飛行時間、および計算時点の温度と湿度を範囲内から選択します。

(3)虚像法の計算と虚像法透視図の表示

前項のパラメータを設定したら、「計算条件コメント」に適切な名称を指定して「計算条件登録」のボタンをクリックします。これにより、パラメータが保存されます。

次に、「計算条件一覧」から今登録したものを選択し、「計算開始」のボタンをクリックすると虚像法の計算が開始されます。(このとき計算開始と計算終了のダイアログが表示されます)

計算終了のダイアログを確認したら、一旦現在のウィンドウを閉じて、「虚像法メニュー」の「虚像法透視図」を選択し、表示された画面の「計算結果一覧」と「音源群」から該当するものをそれぞれダブルクリックすると、先程の計算結果が読み込まれ、利用できるようになります。その後、「透視図コントロールボックス表示」のボタンをクリックし、さらに表示されたダイアログの「表示」ボタンをクリックすることにより、虚像法透視図が表示されます。

(4)虚像法透視図における表示モード

虚像法透視図では次のような表示モードが用意されており、表示モードを切り替えていろいろな視点から結果を分析することができます。

(a)「軌跡」/「反射点」

デフォルトでは「軌跡」(音線)が表示されます。「反射点」を選択し、再度「表示」のボタンをクリックすると軌跡(音線)の代わりに、壁面上の反射点のみが表示されます。

前述したものと同じ条件で、「反射点」を選択した場合です。壁面への反射点(1次〜3次)がそれぞれ色別、および多角形の角数で表示されています(1次=三角形、2次=四角形、3次=五角形)。また、同じ反射次数であれば多角形の大きさが大きいほど音圧が高いことを示しています。

なお、緑色は音源群、赤色は受音点を示しています。

(b)「音源群」/「反射次数」

これは軌跡、または反射点の色分けの基準を選択することができます。デフォルトでは「反射次数」が選択されています。

「音源」を選択した場合は軌跡、または反射点の色分けを音源毎とします。(音源毎に割り当てられている色については「設定メニュー」の「環境の設定」で確認、変更することができます)

(c)「反射次数(0〜5)」

デフォルトでは、「虚像法計算」のところで指定した「反射次数」のすべての軌跡、または反射点が表示されますが、特定の次数のもののみを表示することもできます。

(5)天空図の表示

虚像法透視図のほかに天空図で反射点の位置を分析することができます。天空図とは、指定された受音点の位置から魚眼レンズで上下、左右、前後を眺めたイメージを表したものです。以下の順に操作することにより、天空図が表示されます。

(a)上記にある(3)虚像法の計算と虚像法透視図の表示のところで「透視図コントロールボックス表示」のボタンの代わりに「天空図コントロールボックス表示」のボタンをクリック
(b)方向(上下、左右、前後)と対象とする半球(片方、両方)をボタンにより選択
(c)最後に「表示」のボタンをクリック

次の天空図は、上記(4)の(a)の虚像法透視図を、「上下方向」、「上半球」の条件で表示したものです。色や多角形の角数(三角形、四角形、五角形)の意味についても虚像法透視図と同じになっています。

(6)エコーダイヤグラムの表示

虚像法の計算では、何次反射の音が、どのくらいの時間で、またどのくらいの強さで受音点に届くのかも合わせて計算することができます。これらの情報をわかりやすくグラフにしたものがエコーダイヤグラムです。

エコーダイヤグラムを表示するためには、次のようにします。

(a)虚像法の計算を実行(詳細については上記の(2)と(3)を参照してください)
(b)「虚像法メニュー」の「エコーダイヤ表示」を選択
(c)表示された画面の「表示」ボタンをクリック

上のグラフが反射次数についてのエコーダイヤグラムです。計算条件は今までの例と同じにしてあります。このグラフから、以下のことがわかります。

(a)指定された受音点に直接音(赤色)と1次から3次までの反射音が届く時間(この場合ひと目盛りは0.02秒で  す)
(b)そのときの音の強さ

(7)エコーダイヤグラムにおける表示モード

エコーダイヤグラムでは次のような表示モードが用意されており、表示モードを切り替えていろいろな視点から結果を分析することができます。

(a)「音源群」/「反射次数」/「入射方向」/「入射面群」

デフォルトでは「反射次数」が表示されます。「音源群」、「入射方向」、「入射面群」を選択し、再度「表示」のボタンをクリックするとさまざまな分類方法で受音点に届く音の様子をグラフで表示することができます。

上のグラフ(エコーダイヤグラム)は、「反射次数」の代わりに「入射面群」を選択した場合です。この受音点には、壁面群W1(赤色)、W2(白色)、W3(黄緑色)からと、その他の壁面群(水色)から音が来ることがわかります。直接音はどの壁面群にも属していないため「その他」に含まれることになります。

(b)横軸長と縦軸長

グラフの横軸と縦軸の最大値を変更することができます。

(c)音圧の単位(dB/Pa)

グラフの縦軸の単位をdB(デシベル)、またはPa(パスカル)に切り替えることができます。デフォルトはdB(デシベル)となっています。単位を切り替えるときは「チェンジ」のボタンをクリックしてください。


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