室形カードデータの作成マニュアル

1.カードデータの入れ物について

(1) カードイメージデータセット
MUG022.DM0100.K.JXCARD.DATA  別名MUG022.JXCARD.DATA

本システムの基本データはカードで入力しますのでカードを納めておく入れ物が必要になります。本システムではこの入れ物をカードイメージデータセットと呼んでいます。カードイメージとは、実際のカードではなく、カードと同じように80文字を一単位(一枚分)として扱うことができるという意味です。 またこのデータセットは何枚かのカードに名前を付けた一つのまとまりをメンバと呼びます。カードイメージデータセットはしきりで区分されたカードトレイと考えれば良いでしょう。ユーザに提供されるデータセットには、256メンバ合計2万枚までのカードを格納できます。

(2) データの種類とメンバ名

実はこのデータセットはデータカードばかりではなくシステムの中間計算結果、JCL、シミュレーション結果をしまう場所としても使われます。以下、データの種類とその標準的なメンバ名について述べます。

メンバ名はユーザが名付けるもので、何でもかまいませんが混乱をさけるため、標準メンバ名を使った方が便利です。
 例えばデータのバージョン(版)管理は番号で行います。
 室形データJAR1を少し修正したものをJAR2などとします。 また計算条件が異なるものはJAR1Aとします。

  データの種類 種別 標準メンバ名
ユーザデータ
ベース
音源パワーレベル
指向特性データ
吸音率データ
JXDTBPWL
JXDTBDIR
JXDTBQON
入力データ 室形データ
可動面データ
音源群/音源データ
受音点データ
JXRX
JXKX
JXSX
JXOX
中間データ 計算条件カードデータ
コンタ用下絵データ
JXCmCnG1
JXCmCnG2
JCL 虚像法高速化バッチ計算用JCL KX…

(3) データカードのしまい方

データシートに各種データを作成した後、データセットのメンバにしまう方法は2つあります。1つはデータシートに書き込んだものをTSS端末からカードイメージデータセットJXCARDにDESPユーティリティを用いてしまう方法(1)です。
もう1つは、データシートをパンチャーに一時保管データセットT7にパンチしてもらい、T7からJXCARDにDESPユーティリティでコピーする方法Aです。

※DESPユーティリティ
DESPユーティリティとはTSS端末により各種データセットのメンバに対し、データの入力、修正、削除などやデータセットメンバ間のコピーなどを行うことができるプログラムです。詳しいことは情報システム課に問い合わせてください。

2. 入力データ

(a) 座標系について

Fig.II .2における入力データの内容は、位置や方向などの座標データシステムとそれとは無関係な属性データとに分けられます。ここでは、システムの座標系データについて述べます。

座標系にはシステムの全体座標系(XYZ)とデータに個別な局所座標系(x’ y’ z’)があります。音源や受音点の指向方向は局所系の x’ 座標軸が基準方向になります。
局所座標系の原点が全体座標系でどこにあるか、局所座標系の x’がどちらを向いているか、この x’軸がy’ z’平面でどれだけ回転しているか(指向方向回転角θ)によって全体座標系内での座標情報はすべて確定します。
ユーザはまず全体座標系を確定して下さい。 次に音源群 ,受音点の局所座標を決めます。 最後に全体系における局所系を定義します。

(b) コメント行及び行コメント

次の点に注意して下さい。
・ 1カラム目に「C」 を書くとコメント行とみなされます。
・ 行の途中に「”」を書くとそこから行の末尾までを行コメントとみなします。 システムは「”」以下にスペースを代入してデータとします。


Fig.II .3 全体系と局所座標系

Fig.II .4 局所座標系と指向方向

(1) スピーカのパワーレベルデータ

(1) パワーレベルコード I ×××の形で同一ファイル内ではユニークなコードを記入してください。
(2) パワーレベル名称 型式名称を記入してください。
(3) 形状コード K×××の形でユニークなコードを記入してください。
(4) 水平指向性コード L×××の形で記入してください。C,Dは指向性データコード内に存在するものでなくてはいけません。
(5) 垂直指向性コード M×××の形で記入してください。
(6) 音圧レベル(dB) 63Hz〜8kHzの1/1オクターブバンド中心周波数における音圧レベルを記入してください。
条件は1W入力時とします。そうでないときは1Wに換算して下さい。
(7) 測定距離 測定点の距離を記入してください。値が0の時はEの値がパワーレベルであるとみなします。

※ (1),(3),(4),(5)の下3桁は同一のコードとしてください。

 

(2) スピーカ指向性データ

(1) 指向性コード 水平の時 L×××,垂直の時 M×××の形で記入して下さい。
(2) データに関するメモを記入して下さい。たとえば、パワーレベル名称や型式名称を記入して下さい。
(3) 指向性データ(dB) 水平面の指向性特性は上から見て前方向を始点として時計回りに15°おきに
垂直面の指向特性は0°方向から下→後→上→前方向に15°おきに入力して下さい。
データは0°方向を40dBとしたdB値で与えます。

(3) 吸音材データ

(1) ファイルコード 先頭1文字をQとする4文字
(2) 公称コード a. 公称コードNO. (4文字以内)
b. 公称コード (16文字以内)
c. カナ公称 (16文字以内)
(3) 総合厚み a. 総合厚み(mm) (4ケタ右づめ)
b. 厚みランクコード (1〜9)
(4) 吸音特性コード
(5) 記事
(6) 吸音率(力)値 a. 吸音率又は吸音力(F4.0)
b. データEaが吸音率のとき1とする。
c. データEaが吸音力のとき1とする。
(7) 管理事項

(4) 室形データ

本システムの室形データは27角形以内の壁面で構成され、各壁面は(4.3)に示す属性データにより構成されています。

壁面を決定するときは、壁面の各頂点を次々に決めていきます。例えば、1つの頂点P1は、壁面を含む平面B(主平面)と平面aによってできる直線 l をさらに平面bによって切ることによって作られます。

したがって、この方法では四角形の壁面は、主平面を4つの平面(囲み面と呼ぶ)で切ることによって作られます。

ところで平面は、ある3つの点を同時に通る面ですから、異なる3点を与えることにより定義されます。

本システムは、まず平面を定義する点を与え、次にこれを用いて平面を決め、さらにこの平面を用いて壁面を決めて行きます。初めてのユーザは戸惑いますが、ゆっくりこの作業を進めればしだいに慣れてきます。

室形データは、標準名称 JxRx でカードイメージデータセットに納めて下さい。

Fig.II .5 壁面は平面で,平面は3点で定義する。

 

(4.1) 平面定義点データ

(1) 点名称

1)点の名称を5文字の記号で与えます。ただし先頭の一文字がCである場合はコメント行とみなし読みとばします。

2)また点名称は同一名称のものたあってはいけない。

3)点名称に’ △△999 ’を与えると平面定義点データの読み込みを終了します。

    したがって、’ △△999 ’を点名称として使用することはできません。

(2) 平面定義点座標

平面は空間内の異なる3点を与えることにより定義します。ここではそれらの点の座標を与えます。

座標は次の平面データの平行性状コードで0を与えた座標が有効となります。例えば平行性状010ならXとZ座標が有効です。

1つの軸に平行なら2点与える。

2つの軸に平行なら1点与える。

※ 最大1024点まで登録できます。

(4.2) 平面データ (既存の平面データを使わないで定義する場合)

(1) 平面名称 2つ以上の同一名称のものがあってはいけません。
先頭の一文字がCである場合はコメント行とみなし読みとばします。
平面名称に’△△999’を与えると平面データの読み込みを終了します。
(2) 平行性状コード 入力する平面が、X,Y,Z軸のいずれかに平行な場合、該当カラムに「1」を立ててください。

(3) 平面定義点名称

平行性状に記入した0の数だけ左から点名称を記入して下さい。
点名称は、平面定義点データの中になくてはいけません。

1)3点記入の例は平行性状が 000 のときです。このとき少なくても2点は互いに位置の異なる点でなくてはいけません。

2)2点記入は平行性状 001,010,100 のどれかである場合です。
001 のとき記入した2点のX,Y座標が同一であってはいけません。 同様に010はX,Z座標、100 はY,Z座標が同一であってはいけません。

3)1点記入は、平行性状011,101,110 のどれかである場合です。
011 のとき記入した1点のX座標のみで平面が決定されます。
101 のとき記入した1点のY座標のみで平面が決定されます。
110 のとき記入した1点のZ座標のみで平面が決定されます。

※ 最大1024面まで登録できます。

(4.3) 壁面データ

(1) 壁面名称 同一名称のものがあってはいけません。
先頭の一文字がCである場合はコメント行とみなして読みとばします。
壁面名称に’△999’を与えると、壁面データの読み込みを終了します。
(2) 主平面名称 平面データ内に登録されている平面名称
(3) 壁面の吸音材コード データベース名に存在する吸音材コード
(4) 面群コード 同一のコードをもつ壁面が、面群としてグルーピングされます。
(5) 囲み面の回り方コード 0又はブランク・・・・・・室外から見て時計まわり、1・・・・・・反時計まわり
(6) 囲み面の数(最大27枚)
(7) 囲み面の名称 13枚以上は次のカードに記入して下さい。(16A5)
一つの壁面の囲み面の内に同一の名称が続けて2回以上書くことはできません。
囲み面名称は平面名称として登録してあるものしか使えません。
※ 最大1024面まで登録できます。

(5.1) 可動面データ 1/2

(1) 可動面群コード B×××の形でユニークなコード。
(2) 可動面吸音材コード Q×××の形で吸音材データコードの中に存在しなくてはいけません。
(3) 可動面中心座標 [m]
(4) 可動面向ベクトル上の一点の座標 [m]
(5) 可動面軸回転角 [ °]
(6) 構成面数

注意 : (3),(4)は全体座標系で記入してください。

(5.2) 可動面データ 2/2

(1) 回り方コード 0又はブランク …点B〜Eのまわりは時計まわり,1…点B〜Eは反時計まわり
(2) 構成点数 3又は4でなければいけません。
(3) 構成点座標 [m] 局所座標系で記入して下さい。
(4) 構成点座標 構成点が3のときはDまで,4のときはEまでが必要です。
(5) 構成点座標
(6) 構成点座標

(6)音源群データ

音源群データは標準名称 JxSxでカードイメージデータセット内に作成してください。以下にデータ作成方法を示します。

a.データの構成と順序は次の通りです。

*1 音源群入力制御カード
*2 音源群データ
*2.1 音源統合データ
*2.2 群内音源データ

制御データで音源群数を与え、次に各々のデータを必要数だけ並べます。

[注意]
*2 は *1 で指定したデータ数だけでなくてはいけません。不足を生じますと、プログラムエラーで終了します。

Fig.II .7 音源群データの並び

b. 音源群データ

音源群とは単一音源の単数もしくは複数の組みが一つの群として取り扱われるものを言います。具体的には低音用・中音用・高音用などのスピーカを組み合わせてスピーカ群を作るときに用います。ただし単一のスピーカでも音源群と呼ばれます。

音源群は、可動面と同様に音源群局所座標系における座標と、指向方向および属性データで定義します。

これらの音源を「群」として定義するために *2・1 音源統合データを設定します。これにより音源群局所座標系は全体座標系に位置付けられます。

Fig.II .8 音源群内音源の定義方法

(6.1) 音源群データ入力制御データ

(1) 識別ID '*CONTROL' と記入して下さい。
(2) 音源群数 64以内

 
(6.2) 音源群データ 1/4 音源統合データ 1/2

(1) 音源群コード G×××の形式で記入して下さい。
(2) 音源群コメント 任意です。
(3) 音源群内音源数 64以内
  (音場シミュレータで音源群をグループ別に処理したい場合、音源群コードの先頭2文字を同じにして下さい。)


(6.3) 音源群データ 2/4 音源統合データ2/2

(4) 音源群位置 [m] 音源群の位置P0(全体座標系 X0,Y0,Z0)
(5) 指向方向位置 [m] 音源群の指向方向上の1点の位置P1(X1,Y1,Z1)(音源群位置から指向方向位置への方向が指向方向となります。したがって音源群位置と同一であってはいけません。)
音源群の局所座標系は音源群の位置を原点とし、指向方向をx軸方向とします。x軸に垂直な平面にZ軸を投影した方向をz軸とし、x,z軸に正系となるようにy軸が定めてあります。
(y軸はX,Y平面に平行となります。)
(6) 指向方向軸まわり回転角 x軸の回転角度(軸方向に右ネジまわりを正、-360°< θ < 360°)
(7) 音源群発音時刻[msec] スペースは0[msec]とみなす。
全体系時刻0秒に対する遅れ発音時刻。
a.音源群毎の計算では、この値が有効となる。
b.音源毎の計算では、無効となる。
c.正又は0でなければならない。


(6.4)音源群データ 3/4 群内音源データ 1/2

(1) 音源コード H×××:計算条件内でユニークなコードを記入して下さい。
(2) 音源群コード G×××:音源の属する音源群コード
直前の音源群データの音源群コードと一致しなければいけません。
(3) 音源コメント 任意です。
(4) パワーレベルコード I×××
(5) 音源種別コード J×××:スピーカはJ001
(6) 形状名コード K×××:下3桁をパワーレベルコードと一致させて下さい。
(7) 指向性コード 水平 L×××
垂直 M×××


(6.5)音源群データ 4/4 群内音源データ 2/2

(8) 位置 音源の位置(音源群局所座標系 x’,y’,z’で記入して下さい。)
(9) 指向方向位置 指向方向を水平角度α(経度)と垂直角度β(緯度)で記入して下さい。x’軸方向は0°とします。
水平角度はx’軸からy’軸へのまわりを正とし、垂直角度はz’軸方向へのまわりを正とします。
(10)指向方向軸まわり回転角 指向方向軸のまわりの指向性の回転角度θ。
(指定方向に右ネジまわりを正、 -360°< θ < 360°)
(11)入力パワー[watt] 当該音源に入力するパワー。スペースは1.0とみなす。
(12)音源発音時刻[msec] 全体系時刻0秒に対する遅れ発音時刻。
a.音源毎の計算では、この値が有効となる。
b.音源群毎の計算では、無効となる。
c.正又は0でなければならない。


(7)受音点データ

受音点は単数で取り扱われますが、マイクロホンのように指向性を持つ場合を扱うためやはり受音点局所座標系を定義します。その方法は音源の場合と同様になっていますので、詳しい説明は省きます。
Fig.II .9 受音点の定義方法


(7.1) 受音点データ 1/3

(1)識別ID '*CONTROL' と記入して下さい。
(2)受音点数 64以内


(7.2) 受音点データ 2/3

(1) 受音点コード F××× 同一計算条件内でユニークであること。
(2) 受音点識別コード D××× マイクロホンはD001です。
(3) 受音点コメント 任意です。
(4) 指向性コード 水平 L××× ,垂直 M×××


(7.4) 受音点データ 3/3

(5) 位置 受音点の位置(全体座標系 X,Y,Zで記入して下さい。)
(6) 指向方向位置 受音点の指向方向上の位置(X,Y,Z)
(7) 指向方向軸まわり回転角 指向方向軸のまわりの指向性の回転角度θ。
(指定方向に右ネジまわりを正、 -360°< θ < 360°)


3.システムデータベース


音源パワーレベル、指向特性データ、吸音率データの三種類をシステムデータと呼びます。システムデータは音響可視化システム内にあらかじめ用意されたシステムデータベースとユーザが入力して使うユーザデータベースについは分かれています。ユーザデータベースについては(1)〜(3)で既に詳しく述べましたので、ここでは内蔵されているデータベースについて説明します。


3.1 パワーレベルデータ


本システムでは、主として電気音響設備用の音源スピーカのパワーレベルを用意しています。データはスピーカメーカのカタログ値を用いていますが、必要に応じクロスオーバ・ネットワークの周波数特性で補正済みのデータに加工したものもあります。
パワー値は1W入力時の1m点の音圧レベルの形で入力することが多いのですが、スピーカで大型のものは2mのものもあります。また、ホーンスピーカはホーンドライバにより出力が若干変化しますので、同一ホーンでもドライバ毎のパワーレベルが与えられているものもあります。