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ジェット旅客機着陸音
(航空機騒音分析テスト)

この測定は、最初2002年の9月に行いました。当時のDSSF3はバージョン3で、現在のRAE バージョン2です。

2002年の段階でジェット飛行機騒音を分析して、飛行機騒音には大きなふたつの音があることがわかりました。ひとつはエンジンの前のファンのタービン音です。もうひとつは、ジェットエンジンの噴射音。後ろの音です。

また通常の騒音源と違う性質は、ジェット噴射により、鳴門海峡の渦潮のような、渦巻状の音源を作り出すこと。またその渦巻きは低周波を発生し、飛行機は飛行機の速度により、低周波の音源を後ろに広域に撒き散らす性質を持ってるということです。

またジェット機の前のタービン音は非常に強い高周波を発生し、同時に発生する、強い低周波と、高周波が多そうだといことがわかりました。

しかし、当時のDSSF3は飛行機騒音の分析には、ACFと連携するような高解像度なオクターブバンド分析機能がなく、ランニングACF分析のレコーダーからの再生ををスペクトラムアナライザーを使用して分析し、スペクトラムを確認した後に、ACFの波形から、τ1ピッチ(音の高さ)、を読み取り、代表周波数や、共鳴周波数の分析を行いました。これは手間がかかる上、時定数も適当ではなく、発音の中での適当な場所をFFT分析するために、再現性に乏しく、研究としての正確性に欠けるため、ランニングACF分析と、連携した、FFT分析が望まれました。

2003/07/01
▼ランニングACF解析結果表示 [SA]
分析結果のグラフは指定したポイントに赤丸が表示されます。他のパラメータやACFに切り替えても、赤丸のポイントと、分析データのテーブル表が扱いやすいように改良しました。
▼ランニングACF 音の時間波形とスペクトル [SA]
分析結果のグラフ表示に音の時間波形とスペクトルを追加したことによって解析しやすくなりました。

従来技術のFFT分析をACF分析と、同時同レベルで、分析できるようになり、研究が簡単になりました。

FFTアナライザーに 1/6, 1/12, 1/24 オクターブ分析を追加RA]
  RA(リアルタイムアナライザー)において、FFT分析結果のリアルタイム表示の機能強化として、オクターブバンドで1/1, 1/3, 1/6, 1/12, 1/24 をプルダウンメニューから選択できるようになりました。また100Hz,1kHz,10kHzの位置を灰色の帯で表示するようにしました。
リアルタイムアナライザーのSpectrogram表示を追加 RA]
  RA(リアルタイムアナライザー)において、FFT分析結果のリアルタイム表示の機能強化として、周波数別の音圧レベルの長時間の時間測定を行うために、従来の3次元表示のWaterFall 表示とは別に、レインボーカラーと、グレーカラー表示が選択できるスペクトグラム表示機能が加わりました。 

当時のデータを今の技術で、分析してみることにしました。

以下に加筆(記述)するまでは、2002年のままです。

ジェット旅客機の音の分析のため、下調べとして名古屋(小牧)空港に出かけました。

名古屋空港ジェット旅客機着陸誘導灯横で測定。(下の地図の1の位置)

 

 
名古屋(小牧)空港
Digital VideoカメラはSONY Handy-Cam、外部ステレオマイクを使用し、16ビット音声でMiniDVテープに録画と録音。外部マイクはaudio technica AT9450 one-point stereo condenser microphone 使用。SONY VAIO DVgate-motionでiLINK接続して再生。RAEの「リアルタイムアナライザ」で画面を繰り返し再生し、測定表示の確認を繰り返す。

■ ジェット旅客機着陸

ACFのリアルタイム表示は一定で、近づいてくる数秒間はτe、τ1、φ1ともに一定のようです。

録音をもとにランニングACFを測定しました。

 

air1.wav (44.1kHz / Stereo / 15sec / 2.52MB)

「音響分析システム」で分析してみました。計算条件設定画面です。

つぎはメイン画面です。

φ0(音の強さ)を見てみましょう。

着陸態勢にはいったジェット旅客機がほぼ一定速度で減速を行いながら進入してきて、マイク上空を通り過ぎて着陸するまでの音量エネルギーの時間グラフです。音量の最大値を0dBで表示しています。積分時間2秒ですから、すべて2秒間ずつの平均処理を0.1秒ごとに計算しています。これは、耳の感覚をだいたいシュミレートしています。

つぎにτe(有効継続時間)を見てみましょう。

やはり、同じ13秒間の分析の中でτeの状況が描かれています。進入路のτeは大体5msecと、ほぼ一定です。測定時間3秒付近のτeが一瞬大きくなるのは、ジェットエンジンのスロットオフが考えられます。時間のタイミングについては、2秒ずつ平均しているので、この場合は正確ではありません。

飛行機が接近してくるときのτ1は0.5msで一定です。つまり、その代表周波数は2kHzです。

φ1のピッチの強さはほぼ0.1程度です。

このように、騒音計ではかるより、多くの情報を手に入れることができます。

以降2004年7月加筆。

分析条件は同じです。ここで積分時間2秒と、設定全般は 騒音などの分析には適当と思われる設定です。

SAでの分析結果です。これはWAVEつまり音の振幅の時間表示グラフです。実際の測定データは17秒間です。積分時間が2秒ですから表は最後の2秒をはずした15秒間の表示です。つまり、測定開始後15秒後から2秒間平均した、最後の分析結果が15秒目のところに表示されます。

 

 

下は、同じ画像ですが、X軸の時間を8倍に拡大してあります。この拡大は、まだまだ出来ます、この上に16倍も32倍もあります。この倍率も、2002年には不足していました。当時は分析時間解像度を1/1000とか1/10000とかに持っていくとは考えていませんでした。現在は一部、1/100000、1/1000000が要求されてきています。(2CHの遅延時間からの位置情報の計算など)

このWAVE表示では、音を再生して聴く事も出来ます。この分析結果のすべてをテキストデータとして出力もできます。(かなり膨大な量です。)このWAVE表示で、FFT分析したいところをX軸上で、クリックして、も下のテーブルで、FFT分析の開始の時間をマウスで選択して指定します。下の図のように6.6秒のところに青い色の区間が現れます。この区間はやはり、2秒つまりFFT分析するための平均時間です。つまりここで指定した、この時間の間をスペクトラムアナライザーで分析した、周波数応答のグラフがスペクトラムの画面に計算出力されます。

 

SAでのスペクトラム表示。これはジェット機の騒音の測定開始6.6secのFFT分析結果です。今までこういう分析は出来ませんでした。またこれはACFでの分析結果としてのΦ(0)のグラフなどでも、どれで指定しても、どの点を指定しても、表示をその対応する点のスペクトラム表示に切り替えることができます。またこの分析は、ACF分析の、積分時間がFFT分析の時定数と、マッチさせてあり。ACFと、FFTの計算結果からすぐに対応付けた分析できる点が効果的でした。

 

 

このスペクトラム分析から、このジェット機騒音の代表周波数は 約1.1KHzであることがわかります。高周波の共鳴周波数はおおよそ、2.2KHz、4.4KHZにあり5.5KHzまで、高い周波数になってもなかなかレベルが落ちません。

 下の図はτ1のグラフです。この場合、τ1は代表周波数です。この図の赤い点で、画像の下のテーブルで時間6.6秒はτ1が0.98です。1000を0.98で割ると。1020HZです。測定経過時間がこれから順番に、ジェット機の接近が急速に代表周波数を低下させ、7.5秒の時点では、一気に数千HZの代表周波数にほんの短い時間ですが、あがる(τ1が小さな値になる)のが、グラフ表示されています。

その特徴的な、7.7秒目から、8.1秒までを拡大してみました。

表示では、測定開始後 7.8秒のτ1は0.16です。 つまりこのときの代表周波数は、6250Hzです。

 2002年の測定にも記述されているように、この飛行機が近づいてくるときの、代表周波数は2KHzです。おそらく、ジェットエンジンの前部のタービンのファンの回転音の高さです。それは回転音ですから、ジェットエンジンの出力、その聞こえ方は飛行速度、倍音などの周波数応答は機種にも依存すると想像します。

2004年7月 加筆終了

2005年4月8日 加筆

これもDSSF3の新しい機能である、スペクトグラムの測定表示例を追加してみました。

スペクトグラム表示を行うために、レコーダーを開いて、LOADボタンを押し、同WAVEファイルをレコーダーに読み込みます。

ここで、スペクトグラムを開いて、ソースの長さが15秒ですから、スペクトグラムの時間を15秒にセットします。そして、レコーダーの時間軸の方向に合わせるため、表示の向きを、FOWD(前向き)にします。そしてスペクトグラムのスタートボタンをマウスクリックすれば、レコーダーは自動再生され自動測定されます。このグラフは3次元表示では、わかりづらかった、周波数別の音圧レベルの時間経過をわかりやすく表示してくれます。

たとえば、この航空機騒音の測定では、測定開始後4秒以降8秒までに、1Kから8KHzまでの周波数成分を含む大きな騒音を発生しているのがカラー表示されています。黄色から赤色になればなるほど、大きな音圧レベルをあらわしています。また100HZから15KHZ近くの広い範囲の周波数成分を含んでいるのが画像表示されています。

測定4秒から、7秒までの赤い2本の線1.5KHzと、2KHz以上の2つが代表周波数として接近時に聞こえる音の高さです。このスペクトグラムを人間の声などと対比すれば、この二つは、第1、第2フォルマント周波数に当てはまるものです。

この測定表示は、着陸の音響分析の概要を画像化して、一目で確認できます。

加筆終了

 

January 2002 by Masatsugu Sakurai