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モーター性能の測定
(モーター回転数の計測3)

モーターの性能はエンジンと同じように、音を聴くだけでわかる人もいるそうです。ものを見る目や、聴き分ける耳は学習的に得られ、人間の脳はポイントを的確につかんでそれを行うのでしょう。

モーター性能は、ランニングACF分析によって評価します。自己相関の波形の最初の最大の山が、その遅れ時間から、モーターの回転数が計算できることは前回、ご説明しました。12個のモーターに対して2回ずつ、計24回の測定を行い、分析結果を出力しておきました。それらの分析結果をもとに自己相関分析とモーターの性能や使用状態の関連を実験してみました。

DC12Vのスロットレーシング用モーター(マブチモーターFC-130S)の回転数と回転音を測定してみました。ラジコン用のモーターなどにも応用できます。

 

 
計測日時 2002年8月19日 2:00
計測場所 東京都渋谷区代々木の自宅マンション内
マイク SONY ECM-MS957
パソコン DELL INSPIRON 5000e
OS Windows 2000 Professional
再生ソフト Windows Media Player
測定分析ソフト DSSF3 英語版
測定中の様子

前回のNEW2モーターを清掃して、測定しなおしました。

モーターを水中でまわして清掃中。

自己相関のリアルタイム表示です。

清掃すると自己相関の波形が変わりました。2.24msecですから、1000/2.24=446Hz です。前回清掃前は2.4msecで416Hzでした。

同パワースペクトラム表示です。446Hzですから 446*60 26760rpmです。前回は24960rpmでしたから1割弱、回転数が増えました。

注油して安定するまで回しました。回転の安定につれて自己相関は変化しました。

あいかわらず446Hzですから446×60=26760rpmです。回転数は同じ。同一条件ではこれ以上は回転が上がることはないようです。

モーターは完璧に清掃されていれば、同じメーカーの同じモーターの場合、同じ電力でまわして、回転が高く上がるほうは性能が優れています。部品そのものの品質(あたり)がよく、きれいに組み上げられていて、動作にロスがなく、内部抵抗が少ないことなどが優れたモーターの条件です。消費電力が小さく、仕事量が多い(効率の高い、強力な)モーターともいえます。

内部がカーボン等で汚れると、自己相関の山が低く幅広くなっていきます。また、マグネットの磁力が低下するにつれて、自己相関の山の高さも低くなっていきます。前回測定のみ行ったR17が新品からおろして「パワーが落ちたな」と感じていたところだったので測定実験してみました。

自己相関のリアルタイム表示で分析します。

回転も落ちています。349.9×60=20994回転/分

清掃してやると、たちどころに回復しました。自己相関のリアルタイム表示で、波形の変化が確認できました。

回転も414.5×60=24870回転/分

注油して慣らしを続けることで2分後に回転は446.8Hz×60倍=26808回転/分、まで上がりました。この状態がベストコンデションのようです。

そのときの自己相関関数のリアルタイム表示、この波形からこのモーターがまだ新しい(劣化していない)ことがわかります。

内部抵抗や回転のロスによりモーターの回転エネルギーのタイミングが時間軸上に不正確になります。ずれのぶんだけ自己相関の値が減少し、前後のズレの分だけ山が緩やかになります。その分パワーは減少します。マグネットが弱くなったり、内部抵抗が大きくなると、自己相関の山は(完全に清掃されていても)減少します。古くてぼろぼろのモーターは、自己相関の山が極端に小さくなります。前回の実験で使用した最初のモーターR13はその好例でしょう。前回の計測値は333.8Hz×60=20,028rpmです。

かろうじて3msecのピッチです。

328Hz×60=19680rpm。なぜか清掃しても効果はありませんでした。

アナログ波形に対するランニングACF分析での時間解析から、遅れ時間の最初のピークに着目し、両耳の信号の相互相関を時間解析することにより人間の脳をシミュレーションしています。それが多方面にこの音響分析システムが応用できる理由です。

August 2002 by M.Sakurai


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