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ジェット旅客機着陸音(名古屋空港)の聴覚に対する影響分析
(航空機騒音分析テスト8)

航空機騒音分析テスト」では最後にRAを使用して「1/3オクターブ分析」を行いました。

 
ジェット機の騒音には、ほとんどすべての周波数の音を含んでいます。特に1kHzから6kHzまで、ほぼフラットな音圧レベルです。このためジェット機騒音は周波数成分としてはホワイトノイズに近いといわれています。

RAのシグナルジェネレーターでホワイトノイズを出力し「1/3オクターブ分析」を行いました。

ジェット機の騒音のパワースペクトラム表示です。縦軸、横軸表示をマニュアルで指定して2kHz近く(ここでは1.7kHz)のピークを確認しやすくしています。

ジェット機の騒音は周波数成分的にはホワイトノイズと似ていますが、一般には2kHz近辺に強いピッチを持っているといわれています。

これは測定後1.6秒経過時の自己相関の波形表示です。表示のピークの遅れ時間は0.6msecです。これは1.7kHzの周波数です。このピークが遅れ時間が一番少ないところのピークで、このピークの高さはピッチの強さを表しています。

τ1の時間変化です。最初のピークの遅れ時間の時間的変化を表しています。この値の大きな変化は音声認識のときの「あいうえお」などの違いと同様な信号の変化を意味します。

その場合1.5kHzから5kHzまでの周波数が、最も大きな刺激を脳に与えることになります。それは、その部分の聴覚が1kHzに比べてエネルギーに換算して10倍以上敏感だからです。

1.5kHzから5kHzまでの周波数は、自己相関では0.2〜0.5msecの遅れ時間の最初の最も重要なピークになります。音声はそのピークを使用しています。(「日本語音声の分析2〜基本周波数、フォルマント周波数と自己相関の関係」参照)

ジェット機の騒音成分は、自己相関のピークとしては音声信号の領域に入っています。最近、音声認識で行っている非常に短い時間窓の分析、積分時間、ランニングステップ、遅れ時間をそれぞれ10msecでジェット機騒音を再計算させました。

そうして得られた自己相関のグラフです。この例はτ1が0.14msecで、7kHzのピッチの例です。

SAによりワンタッチで作成された自己相関、相互相関から得られるパラメーターのすべての時間的変化のグラフです。この図のACFのグラフは測定後0.68秒のものです。この場合約5kHzのピッチが強さ0.37もあるはっきりしたものです。

 

air8.wav(44.1kHz / Stereo / 15sec / 2.52MB)

上記アイコンをクリックすると、今回の分析に用いる音を聞くことができます。また、マウスの右ボタンでクリックして、メニューから「対象をファイルに保存」を選んで、wav形式ファイルのダウンロード(保存)するができます。15秒間のデータですが、ファイルサイズが大きいのでダウンロードに時間がかかることがあります。
保存したファイルを、RAのランニングACFで「読み込み」すると同様の分析ができます。

騒音の影響の程度は、聴覚上の周波数感度に比例します。またそのとき自己相関の最初にピークを持つときに、その遅れ時間が少ないほど、またピッチが強いほど(ピークが高い)大です。そのピークが周期的に出現、消滅を繰り返すと、その間隔が信号としての意味を持ってきます。それが会話や音楽などに似ているほど大です。音量の変化はもちろん大です。この7.15秒後のデータは最大音量時であるとともにこれから、7k、6k、5kHzと順番にジェット機がこちらに近づくほど、非常に強いピッチでありながら、ピッチの周波数を下げてきます。

このシステムはJST(科学技術庁)の研究開発推進事業の課題として開発されました。

【参 考】
計算科学技術活用型特定研究開発推進事業(短期集中型)
平成10年度選考研究開発課題
課題名:地域環境騒音の計測・心理評価システム

October 2002 by Masatsugu Sakurai