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リスニング環境をテストするための準備
(オーディオ測定レポート1)

2004年8月12日加筆

 ここで使用しているインパルス応答データは、ちょっと使えないため、RAを使用したパソコン測定試験5 TSP、M系列のインパルス応答テスト で、作成された データファイル: ra5t.wav (48kHz / Stereo / 0.683sec / 128KB) を使用して再分析を行います。

(オリジナル)

測定日:2002年1月27〜28日
測定場所:愛知県名古屋市東区主税町(マンション内の一室)
室温:気温20℃/湿度60パーセント
使用OS:Windows2000 Professional
測定ソフト:DSSF3(英語版)
測定マイク:オーデイオテクニカ AT9450

この実験は初めての機材を使用しました。自宅のリスニングルーム測定ですから、プロ用機材を使わずに手軽にやってみたい。そのレポートです。

まず、無指向性のスピーカーOMNI5を定位置のスピーカーの上にセットしました。ここで少し迷いが出ました。コンサートホールの楽器とちがって、実際そこにおかれているのは指向性のあるWILSON AUDIO WATT3(ROSE) 機番1609,1610なのです。

メーカーの説明書(大場商事)には「お手元のWATTシステムは高度に忠実で、しかもポータブルで、野外のレコーデイング等どこでも持ち運びでき、マイクパターンのセッテイングやマスターテープの評価が正確に判断できる高忠実モニタースピーカーです」とあります。

あれをポータブルと呼ぶのはオーデイオの世界だけです。「音源に指向性があるのに、音源の位置に無指向性スピーカーを置くのは変だな」とおもいつつ、WILSONは1台100kg以上もあるので、とりあえずOMNI5を接続してすすめていくことにしました。

リスニングルームの音響特性を測定するのが普通だと思い直しました。最終的にはオーディオ機器を測定したいのです。

まず、騒音計で部屋の暗騒音を測ります。各種電化製品のために騒音レベルは意外に高く40dBAあります。

深夜になればもっと静かになるでしょうが、いまは午後7時。30mくらいのところに国道41号や名古屋高速の高架があり、それらが大きな騒音源です。しかしこの部屋はすべて2重サッシを使用した防音構造になっています。ですから、この騒音はほとんどが内部的なものです。まずマイクを接続して設定のためにWindowsのボリュームコントロールを開きます。

わかりずらいですが、要するにミキサーですからインプット、アウトプットの選択とボリュームコントロールの入力、出力のセレクターです。プロパティで「録音」を選びます。ここでは入力(録音)選択はマイクを選び、プロパティの再生はライン入力と、マイク入力をミュートしておきます。

ここをまちがえる方が少なくありません。間違えた場合、マイクに入った音がすぐにスピーカーに出力されます。そしてスピーカーの音がマイクに入りますのでそれを繰り返してハウリングを起こします。

マイクの入力ボリュームは歪まない範囲で、できるだけ開きます。大きな音をいれても、入力のピークレベルが−10dBに振れないとゲインが得られません。十分に増幅できるマイクアンプが必要です

この部分はサウンドシステムエンジニアリングの世界です.奥の深いプロやマニアの領域ですが、ピークレベルメーターなどの測定システムがあれば(そして一度覚えてしまえば)そんなに難しくはありません。

シグナルジェネレーターを使用してテスト信号を出してみます。1kHzを左右両チャネルから出力します。オシロスコープでみるとサイン波はそんなに狂っていませんが、全体が大きく波打っています。何をやっても止まらないので1KHzをとめてもオシロではベースのゆれが変わりません。

マイクで暗騒音を調べようと1/3オクターブに切り替えてみます。16Hzがもっとも大きい揺れでした。

オシロスコープの揺れ方も同じです。室内の電化製品を切ると少し静かになりますが、ゆれ自体は変わりません。ここで目先を替えて、騒音レベルが測れるように、マイクの較正(キャリブレーション)を行ってみます。

騒音計は、A-weighninng(A特性)ですから、較正もA−weighningで行います。TEST SIGNALをクリックすると信号が出力されます。しかし何回較正しても正しい騒音値を示しません。おまけに、AT9450の外部マイクに大きな音を入れてもピークレベルメーターが-30dB以上振れません。

「ひょっとしたら」とパソコンを換えてみると、揺れがとまりました。パソコンのサウンド回路の故障は見つけるのは大変です。しかしピークレベルメーターの振れは弱すぎます。これでは測定不能ですから、TEACのDAT(TASCAM DA−P1)をマイクアンプとして使用することにしました。

すると嘘のようにすべての問題が解決しました。パソコンのラインインを使用してDATをマイクアンプとして使用するしかないようです。(SONYのDAT WALKMANでも可)

録音ボリュームをまわすと入力のピークレベルメーターが振り切ってしまうほど余裕がありますし、動作も安定しています。パソコンに付録でついているものとは比較になりません。これでインパルス応答も取れそうですし、マイクの較正もうまくいきそうです。

今回のトラブルの原因は、第1にパソコンのサウンド機能が壊れていたこと。第2に飛行機などの騒音とちがって、部屋のインパルス応答は音楽の聴取レベルでダイナミックレンジを限界まで使って小さな音も拾うため、マイク感度を補うマイクアンプが必須であったことです。

オーディオテクニカのコンデンサーステレオマイクAT9450に限らず、SONY C999など他のマイクでもマイクアンプが必要なようです。マイクアンプは性能的にも、精神的にも必需品といえます。

 

2004年8月12日加筆開始

DSSF3のバージョン5.0.5.x での、インパルス応答の取得方法は、 RAを使用したパソコン測定試験5 TSP、M系列のインパルス応答テスト に書いてあります。

インターネットからインパルス応答ファイルのダウンロード して、DSSF3で分析してみる場合には、インターネットイクスプローラーの機能を使って一度ご自分のパソコンのハードデイスクにWAVEファイルをダウンロードします。

具体的には: ra5t.wav  を右クリックして対象をファイルに保存を選びます。すると、下のダイアログがあらわれます。 こので、どんな名前をつけても、どのフォルダーにしまってもかまいませんが、Windowsには マイドキュメントのMy Music が一応それ専用に用意されていますので、今回はそこに保存します。そこで以下の画像のようにra5t.wave という名前で、マイドキュメントの中のMy Music の中に保存します。

そして次はRAのインパルス応答の画面を開きます。今保存した、インパルス応答のファイルを読み込みます。

具体的には、インパルス応答の操作画面で右上のLOADボタンを押して、次の選択画面で、右上に並んでいるWAVEファイルと書かれたボタンを押します。

すると、以下の画像のファイルを開くの画面が開きますので、そこで、先ほど保存した、ra5t.wave を指定します。 

 

ra5t.wave のインパルス応答ファイルを読み込んでやると、インパルス応答測定の画面は以下のようになります。wave ファイルから読み込んだ情報から画面の一番下の表示窓に、取り込んだ日時、サンプリングレート、測定時間、16ビット、同期加算回数などが、表示されます。 実際にこのwaveはTSP方式で取得しましtが、右の選択はM系列にチェックされています。でもこれは無視してください。右側は操作パネルになっていて、インパルス応答を取得したり、設定するエリアです。読み込んだ、WAVEファイルのデータは一番下の2段に表示されている数値です。

ここで、Replay ボタンを押すと、インパルス応答を実際に耳で聞くことができます。キューンという、音で、慣れてくるとこの音を聴くことで大体のホールの音響特性がわかるという人もいます。

 

以下の画面はインパルス応答の表示をX軸の時間方向に64倍に拡大したものです。これは直接音の到着時間を調べるために拡大してみました。

音響で距離を測るというのは、時間を計ることを意味します。アナライザから出力される信号をスピーカーからだし、その出た音をマイクロフォーンに到達するまでの時間画グラフ表示されています。下の図の表読みでは 7.5msec です。もちろん表読みしなくても、SAを使用すればすべてのそういう必要なデータは出力されますが。ここでは、RAの機能のみを使用した分析を説明しておきます。

音響の距離は音が1秒間に360m進むのを利用して、距離を測定するのです。厳密には気温がわかると音速が決定されますのでそれを使用します。

       音速を計算する近似式は C=20.03 √ (273+度C)  (m/s)   ( ドンデイビス著 サウンドシステムエンジニアリング 94P)

    温度が22.5度Cのときの音速C は  C=20.03 √ (273+22.5)= 344.32 m/s

         この場合 7.5msec つまり 0.0075sec では    0.0075*344.32 = 2.582 m となります。

 このインパルス応答を測定するときの説明文は以下のようでした。

参考】 次はマイクからスピーカーを見て右前の床においてマイクアンプ無しでテスト測定してみました。すこし近い距離です。同じマイクECM999の2本目を使用しています。 

 

 

 

 次の図は、その他の反射音をp調べるために、16倍に拡大をしてみました。7.5msecの直接音 から 0.5msec 17cm だけ遅れ、床からの反射音が到着します。 部屋の感じからすると14msecあたりが側壁からの反射音の到着と考えられますが。

  とにかくマイクが床に近いことから、常に床が反射にかかわるようです。 

 

 

それではデータをかえて、ちょうどこのとき 、マイクアンプを使用した正規の座った耳の位置でのTSP測定です。(実際はソファーの手置きの部分においている)がありまうしたので、そちらを分析してみます。 このデータファイル: ra5t2.wav (48kHz / Stereo / 0.683sec / 128KB) 

RAに読み込みました。こちらは一般的です。

 

16倍に拡大してみました。 確かにこちらのほうがマイク位置としてスピーカーから少しはなれているという、説明が、測定時にかいてありましたが、説明どおりに、直接音は前の7.5msec に対して 遠い 8msec です。また第一反射音は壁から13msecがひとつ、また14msec にも1個、かなり分析しやすいです。前の分析も大体14msec と予想はつけられましたが、どちらにしても、目で見てわかることは、それくらいです。

残響状況などもこの図を見ただけでも大体わかります。残響時間というと、ISOなどで定義があるので、求めるには正規の計算が必要です。

これらのインパルス応答はきれいに取れているので、SAでの分析が楽しみです。

2004年8月12日加筆終了

 

January 2002 by Masatsugu Sakurai