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肺胞呼吸音(正常)の測定分析
(肺の聴診1)

肺音とは ( http://www.medic.mie-u.ac.jp/student/hai.html )

心、血管系に由来する音をのぞく、肺、胸腔内で生じるすべての音で、呼吸音と副雑音からなる。呼吸による気道中の空気の流れにより生じる生理的な音が、呼吸音であり、正常では聴取されない異常肺音が副雑音である。

音声(肺胞呼吸音) :吸気の音は聞こえるが呼気の音はほとんど聞こえない。

こちらのWAVE音源 (肺胞呼吸音)を、DSSF3のバージョン5に読み込んで分析しました。

DSSF3 バージョン5で分析する場合には、2種類の方法があります.ランニングACFのレコーダーを使用する方法と、レコーダーを使用する方法です。どちらも同じですが、目的がランニングACF測定であれば、ランニングACFに付属のレコーダーが最適です。この二つのレコーダーの違いは、記録時間が32秒以内か、無制限かの違いです。また、ランニングACF付属のレコーダーはランニングACFとサンプリングレートや、開始終了など、自動で同期が取れますが、レコーダーのほうは意識的に合わせてやらないと、すべての機能FFTアナライザーやオシロスコープなどとも、自動ではサンプリングレートの設定などが同期しないことになっています。

ホームページからディスクに保存したWAVEファイルを、ランニングACFのLOADで指定して読み込みます。

ランニングACFの測定画面に読み込みました。このWAVEファイルは8ビットのモノラルだそうです。すごい音ですが、これは正常の肺の音だそうです。ここではとりあえず、音響的な測定を行ってみます。

ランニングACFの再生機能を使用し、FFTアナライザーで、分析しました。ピークホールドで、測定すると、4KHzから上の周波数がガクっと落ちていますから、サンプリングレートが8KHzなのが良くわかります。この周波数レベルの測定から、判断すると、確かに50HZから300HZくらいが有効周波数領域と見れます。

同じく三次元表示で、測定してみました。

HAION1という名前でデータをセーブしました。

SAで読み込みます。

積分時間10msecで、測定時間は5msec間隔で分析を行います。

計算終了しましたのでSAで、表示しました。先頭は、Φ(0)音圧レベルの時間変化です。X軸は測定開始後の時間を表示しています。測定時間は10,44秒です。ここで、組み合わせ画像の作成機能を使用するために、右上の並んでいるボタンの上から5番目の[ScreenCopy]のボタンをクリックします。

そして開いた[ScreenCopy]のためのダイアログです。チェックしてある Φ(0)、τe、τ1、φ1、ACFのグラフ部分だけ(Frameのチェックが無い)を横2列で、1枚の画像にする設定を行っています。これでワンタッチで、画像が作成できます。

これが作られた画像です。分析後いきなり作成したので、素のままのSAによる分析の概要になっています。どこもクローズアップしていないため、全体傾向はわかりますがごちゃごちゃです。というのは5msec単位の計測を10秒も続けているので2000データが凝縮されているためです。

この例では、調べるポイントによって、先頭の音圧レベル最大のポイントにあわせて、全部をズームしてみます。このレベルのズームが通常分析には必要です。音圧レベルで、16倍、τeで64倍、τ1、φ1で、32倍あたりにズームしてやると、それぞれの自己相関からの音響パラメーターの時間変化を読み取ることができます。

Φ(0)の音圧レベルのみを見てみます。ハイライトされている下の数値表では、測定開始後1.025秒後、Φ(0)は-1.55、τeは14.03、τ1は1.25φ1は0.20とあります。近辺ではτe最小は、測定開始後1.02秒のところですから、そのときを特徴点として、解析すると、τ1が3.13msecであることから、330HZの周波数成分の音です。ピッチも0.6と強いです。同じような、τeの場所は、測定開始後1.05秒でもおき、だいたい25msecおきに繰り返します。特徴点を過ぎると、900Hzくらいの周波数成分のフォルマントの音声に相当する音を出しています。

Φ(0)のグラフのY軸方向をズームしてみました。

測定開始後1.02秒の特徴点(τe最小)のところのACF(自己相関)のグラフです。

測定開始後1.025秒のτeが長い、周波数成分の900HzくらいのACFです。ここまで分析が進むと、音声認識の計測事例と同じです。

March 2003 by Masatsugu Sakurai