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RAを使用したパソコン測定試験2
THD Analyzer

 
ノートパソコン DELL INSPIRON 7500
OS: Windows 2000 Professional
測定分析ソフト DSSF3

THD Analyzer(歪率測定)は全高調波歪み(Total Harmonic Distortion) を測るための測定機です。

THDは高調波成分の実効値和と基本波の実効値との比をdB (%)で表現したものです。入力にサイン波相当のデータを与え,出力波形を計測する。通常2次から5次程度までの高調波成分(v2,v3,v4,v5)の実効値の総和の相乗平均を求め、基本波の実効値(v1)との比をdBで表す物が一般的ですが、このアナライザーは、サウンドボードやCPUの性能が高い場合、どれだけでも精密な分析ができます。

サンプリングレートはサウンドボードの能力次第です。2CHで正弦波を出力するシグナルジェネレーターを備え、高調波成分は2次〜30次までを指定することができます。これはCPU能力の低いパソコンを考慮してのことで、THDの名前どおり通常は30次まですべてを測定します。

インプットデバイスをミキサーにすると、THDは、SGで正弦波をつくり、D/Aコンバーターでアナログ波形に変換し、それをアナログアンプで増幅します。その信号をミキサーに入れますので、それを分析することになります。

20Hzから10,000Hzについての-19dBレベルでの音圧レベルについての全高調波歪みの測定です。GuardTimeは、周波数変調後0.5秒たって、落ち着いてから、測定する指定です.パソコンの性能によっては長めに取らないと、極端に悪い測定結果になります。スケールはパーセンテージ表示です。計測の最小、最大については、非常にひずみの少ないもの(測定機)の測定ですから、最小の0.0001パーセントのレベルまでの表示にしてあります。

測定結果として、このマシーンはサンプリングレート48kHzで使用し、-20dBを使用すれば、20〜10kHzまで0.035パーセント以下ということです。

BOSE M2150 Commercial Power Amplifier

定格出力: ステレオ/デュアルモノモード時
150W + 150W(8Ω@1kHz,THD<0.5%)
150W + 150W(4Ω@1kHz,THD<0.5%)
150W + 150W(100V,67Ω負荷@1kHz,THD<0.5%)
150W + 150W(70V,33Ω負荷@1kHz,THD<0.5%)
ブリッジモード時
300W(8Ω@THD<0.5%)
300W(4Ω@THD<0.5%)
300W(100V,67Ω負荷@THD<0.5%)
300W (70V,33Ω負荷@THD<0.5%)

BOSEのアンプの性能表示です。0.035パーセントという測定結果は、特別なサウンドボードを使用しない、素のINSPON7500の性能です。それでもこの測定システムが通常のオーデイオ装置に対しては充分な性能があることを証明しています。異常や故障、劣化、誤接続、配線、音質の改善などを測定チェックする本来の目的から考えれば、非常に心強い性能ともいえます。

同じ分析をdB表示に切り替えました。最小は-120dBまでの測定で、-68dB以下の範囲に入っています。

同じ分析をdB表示のまま、もう一度行ってみました。結果は同じです。

出力音圧レベルを10dB下げてみました。そのまま歪み率は10dB近く上がっています。これが音圧レベルを絞りすぎてはいけない理由です。

最大まで上げると、これはひどいです。測定に歪みは厳禁ですから、適正な音圧レベル調整が必要です。

サンプリングレートを96kHzに変更しました。96kHz自体はいいサンプリングレートです。またDAコンバーターのチップも対応しているようですが、この場合はアナログのアンプが対応してないために、逆に48kHzサンプリングに比べて歪みが増えています。

サンプリングレートを32kHzに下げると、高域が苦しくなります。7000以上は歪みが増えています。このマシンでは使えるサンプリングレートは44.1kHzか48kHzのふたつです。

そこでサンプリングレートをまた48kHzに戻して、音圧レベルを-40dBから0dBまでスイープさせ、音圧レベルのTHD測定を行いました。図からみるとおおまかに-10から-30のレベルの使用が好ましい範囲です。ただ、この図を見て初めて-10から0dBのがこの性能では、この領域は絶対に使用してはいけないと思いました。

今度は測定レンジをかえて-80dBから0dBまでの歪み率を測定しました。-40dBから0dBまでは前図と同じです。実はこのグラフは重要です。

RAメイン画面のピークレベルモニターは同じ-80dBから0dBの表示です。出力モニターしているときに、歪み率が関わっている(前図)からです。

歪ませないためにSGのデジタル出力は大きく本来の32767から10031まで絞らなければなりません。これは非常に苦しいです。この性能ではインパルス応答取得は無理でしょう。これを知らなかったために、それが「オーディオ測定レポート2」のインパルス応答の測定結果(不満)に影響を与えたのかもしれません。

VAIO PCG-R505R/DKの同じ測定結果です。-10dBから0dBにかけての-80dBの歪み率はこれが本来の状態でしょう。

同じくパーセント表示、この場合は0.013パーセントの歪み率です。

その他のTHDの使用例

 

  1. パソコンのラインインと、ラインアウトをステレオミニミニケーブルで接続します。入出力の総合の歪み率が計測できます。
  2. 他のパソコンや、アンプなどの入出力にそれぞれラインイン、アウトを使用して、それらの歪み率を測定します。
  3. SG信号をスピーカー出力して、マイクで測定します。スピーカー,マイクなどの測定系の歪み率が測定できます。
  4. 総じてSG出力をラインアウトからだして、信号をラインインから取り込むことによって、信号が戻ってくるまでの歪み率を測定します。

DELLとVAIOの測定結果は、それぞれのパソコン固有のものです。

もう一台7500があるので、それも測定してみました。歪み率の点ではもう一台のINSPIRON7500よりは良好です。それでも0から-5dBくらいまでは同様に避けたほうがいいとわかります。

インパルス応答が心配になって調べてみましたが、やってみて安心しました。インパルス応答は自動調節にしておけば、このマシンの場合はTSPは-12dB以下しか使用しませんし、M系列信号時も-18dB以下しか使用しませんでした。自動調節で使っていれば大丈夫だったようです。よく考えてみると、これは当然でした。インパルス応答のロジックは2回測定を行い、波形が合致するかどうか、歪みを調べていたからです。

VAIOが優れているかといえば断言はできません。VAIOはラインインが無いとか、マイク入力に大きな問題があります。ひとつの測定結果としてみてください。THDAnlyzerは、測定対象の(安全使用ライン)性能や経時変化、進行する故障や不具合までを一瞬で明確にします。複数の測定対象を比較測定おこなえば、おそらく優劣を一瞬で判定することが可能でしょう。測定機器やシステムの維持管理や、測定前のチェックとして、この使用を義務付ければ、大幅に事故は減ると思います。時間との勝負で、失敗の許されない現場や電気音響のプロのみなさんには、心強いアナライザーといえるでしょう。

July 2003 by Masatsugu Sakurai


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