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クロマチック・チューナー
(楽器のチューニング−2)

昔は音叉でしたが、今はチューナーがあります。KORG CHROMATIC TUNER CA-30というのを買ってきました。これはクロマチック・チューナーと呼ばれるもので、1オクターブの音階に合わせることができます。一方、ギター・チューナーと呼ばれるものは6本の弦をそれぞれ合わせる機能を備えています。今回はこのクロマチック・チューナーの話題です。

名刺よりもすこし大きいくらいのコンパクトなもので乾電池2本で動作します。

冒頭の写真では、ギターの5弦開放を鳴らしてチューニングしているところです。液晶画面の右上にAと出ていて、針がすこし右を指しているので、Aよりちょっと高い状態だということがわかります。針が中央を指すようにチューニングすればいいわけです。

ちょうど良い機会なので、チューナーといっしょにギターの弦(MartinのLight)を買ってきました。新しい弦に張り替えてチューニングするわけですが、このチューナーを使うと1オクターブ低いA(A3)でも合ってしまいます。ギターのことをなにも知らない人がこのチューナーだけで合わせたら、すべての弦が1オクターブ低かったということもありえます。(実際には基音を鳴らす機能もあるのでそれを使えば大丈夫でしょう)

さて、5弦をA4(440Hz)に合わせたら、それを基準にして他の弦を合わせていきます。大体合わせてから6弦開放を鳴らすとチューナーの右上にはちゃんとEと出ますし、4弦開放であればDと表示されます。微調整であれば、すべての弦を合わせることができます。

ところが、6弦開放もEならば1弦開放もEです。2オクターブ離れていてもチューナーからみればおなじことのようです。このチューナーの測定範囲は「C1(32.70Hz)〜C8(4186.01Hz):サイン波」となっていますから、その範囲内の12平均律の倍音構成に合致する音階を表示する仕組みなのでしょう。

しかし、前回調べたように、ギターで単音を鳴らしても倍音以外に4度や5度の周波数も含んでいます。その中からどれが基音なのかどうすればわかるのでしょうか。

「パワースペクトラム」を「L-R分割表示」させてみました。周波数範囲は100〜2,000Hzです。画面下が440Hzの基準信号、画面上がギターの5弦開放を鳴らしたときの様子です。縦横の赤と青の線は「ピーク表示」です。

上図のように、かならずしも倍音がもっとも強いとは限りません。実際、ピーク値はあちこちに移動します。

「シグナルジェネレータ」でスピーカーから音を出し、それをチューナーがどの音階だと判断する実験してみました。

LチャネルはD(約588Hz)、RチャネルはA(440Hz)にしたところ、チューナーはDを表示しました。

同様に、Lチャネル:588Hz(D4) / Rチャネル:880Hz (A5)にしたところ、チューナーはAとDの表示がちらちら入れ替わって判断できない状態でした。Lチャネル:588Hz(D4) / Rチャネル:784Hz (G5)ではチューナーはGと表示しました。高いほうの周波数を指すとも限らないようです。

つぎに、電子ピアノ(クラビノーバ)を使って、1オクターブの音階ごとの「パワースペクトル」を調べてみました。ピアノを使ったのは、ギターとちがって片手で音を出すことができるからです。パソコンの画面のスクリーンコピーを取るのに、右手で鍵盤を叩いて、左手でAlt+PrintScreenキーを押せばいいのでギターよりも楽です。なお、グラフが見やすいように周波数範囲を50〜5kHzに設定してあります。音階名につづいて倍音周波数を書いておきます。

この下のAのグラフの220Hzのピークに注目してB以下のグラフを見ていくと、当然ながらすこしずつピークが右に移動していくのがわかります。

▼A−110, 220, 440, 880, 1760, 3520Hz

▼B−123.45, 246.9, 493.8, 987.6, 1975.2, 3950.4Hz

▼C−130.8, 261.6, 523.2, 1046.4, 2092.8, 4185.6Hz

▼D−146.825, 293.65, 587.3, 1174.6, 2349.2, 4698.4Hz

▼E−164.8, 329.6, 659.2, 1318.4, 2636.8Hz

▼F−174.6, 349.2, 698.4, 1396.8, 2793.6Hz

▼G−195.975, 391.95, 783.9, 1567.8, 3135.6Hz

▼A

各音階の周波数を一覧表にまとめました。

 
A 110 220 440 880 1760 3520
B 123.45 246.9 493.8 987.6 1975.2 3950.4
C 130.8 261.6 523.2 1046.4 2092.8 4185.6
D 146.825 293.65 587.3 1174.6 2349.2 4698.4
E 164.8 329.6 659.2 1318.4 2636.8 5273.6
F 174.6 349.2 698.4 1396.8 2793.6 5587.2
G 195.975 391.95 783.9 1567.8 3135.6 6271.2

チューナーは、おそらく110, 220, 440, 880Hzを含んでいればAと判断し、146.825, 293.65, 587.3, 1174.6Hzを含むならDと判断するのでしょう。どちらも440Hzを含んでいたとしても他の周波数パターンが(強弱の差はあっても)一致しているかどうかで音階の区別はできるでしょう。

 

November 2002