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EAを使用した自動計測と同定
(トイレ流水音分析2)

今回はEAを使用してトイレ流水音の測定の続きとして、同じデータを使用して自動計測と同定を行います。

SONY VAIO PCG-505R/DKと再生用に、Dell Inspiron7500 を計測用に、パソコンを2台使用して実験を行いました。計測ソフトは「DSSF3」です。

RA(リアルタイムアナライザー)のランニングACF計測開始2秒後に、トイレの水が流されます。10秒後に、水を流すバルブが閉じます。かなり大きな音がします。それ以降計測終了まで水が補給される音が続きます。「トイレ流水音分析1」のデータを使用します。

SA(サウンドアナライザー)のΦ(0)音圧レベルの時間的変化。ここの一番右のPLAYボタンを押して再生します。Dell Inspiron 7500を「DSSF3」で分析、レポート作成に使用しています。EA(環境騒音アナライザー)を使用してSONYのマイクMS907を使用して自動測定を行います。

EAのメイン画面です。

インプットデバイスの設定画面です。ツールバーのマイクのマークをクリックするか、インプットデバイスの設定画面を測定のプルダウンメニューから選ぶと表示されます。ここではMS907のマイクを選択します。ここでは、一度マイクの固有のデータを選択しても、他のマイクを選択すれば変更できます。ただ、マイクからミキサー等に変更するには、一度リリースしないと変更できなくなっています。(リリース機能)

ここではマイクのEDITを押しました。校正情報を確認しました。騒音計の調整はすでにされています。騒音値は現在38.5dBAです。

測定条件設定画面です。上から サンプリングレート48KHzです。トリガーSPL測定開始の音圧レベルです。20dBで、相対レベルを指定しています。この場合、自動測定をスタートして、最初の2秒間の音圧レベルを0dBとして、それより、20dB音圧レベルが大きくなったら、測定開始するという意味です。時定数タイムコンストは音圧レベルを0.15秒ごとの平均で求めます。測定タイミングは次の測定区間の指定の元になる基準ですが、最大音圧レベルのピークかトリガーSPLかの2つが選べます。

τe、ランニングACFの設定の詳しい説明はここでは省きます。積分時間は0.02秒にしてあります。従来より100倍小さい値にしています。これは、音圧レベルの変化をより、精密に扱うつもりで変えてあります。同定の設定は、最大音圧レベルのポイントととりあえずしてあります。

ピークレベルモニター。内部のサウンド回路のピークまで何dBあるかを示しています。

サウンドプレッシャーレベル(SPL)メーター。音圧レベルが表示されます。トリガーの音圧レベルはここの数値でモニターできます。この場合、この数値が開始時に比較して20dB大きくなると自動計測を開始する設定です。使用するマイクの設定が騒音計の仕様で校正されている場合は騒音値を示します。

■ ノイズ・ソース・テンプレートの作り方

前回「トイレ流水音分析1」の分析を再度挙げてみます。

τ1:ピッチ、つまり騒音の基本周波数は、流すときは0.8msec、補給するときは0.4msecとはっきりしています。
φ1:ピッチの強さは音量が大きいときに強い事がわかります。また、水を補給するときは、比較的に一定なのがわかります。暗騒音は38dB、トイレの音は最大68~70dBです。バルブの閉じる音も大きく、およそ65dB以上の騒音です。音量は、35d~40dB(別図では最大の音と、水の補充の音と比較して10dBくらいあります。水の補充の音も55dBくらいの騒音です。

テンプレートに数値として入力してみました。

音圧レベルは68dBをセットします。τ1に0.8msecをセットして、これらは重み付けを1にします。τeに4msecを、φ1に0.1をセットして、これらの重みづけはそれぞれ0.5にします。washというノイズソース名をつけて [New]のボタンを押すと、テンプレートが新規に作られます。トイレの流水音は、ほとんど毎回同じ音圧レベルですし、τ1、φ1、τeの情報がありますので、正確にトイレの流水音と同定するはずです。

以上の設定でVAIOで音声を再生して Dell Inspiron7500で自動計測のテストをしてみたところ、なんなく同定できました。音圧レベルは68dBのテンプレートに比べて、61.66dBとかなり近く。τ1は0.8の設定に比較して実測0.79、φ1は0.82となりました。τeは17.07msecとなりました。

10回テストしてみました。音量は60~66dB。より同定精度をあげるためには、最大音量時の同定条件にもうひとつτe最小時を設定する必要があります。もともとτeは響きを表す音響パラメーターでしたが。動きを伴うものの場合はその動きの変化する瞬間に、τeが最小になるので同一状態の比較をするために、τe最小を使用します。そうすれば、τ1は0.4あたりになりそうです。そうすればφ1も0.16~0.3くらいになりそうです。

測定条件を変更しました。ランニングステップを0.01秒にして同定条件にτe最小を指定し、前後10ステップを指定しました。

テンプレートは変えません。

自動計測の結果、6回とも音圧レベルは67~68dB、τeは6.56, 6.82,6.66,6.54,7.45,10.40、τ1はすべて0.35、φ1は0.42,0.14,0.13,0.15,0.22,0.26となり、ほぼ考えたとおりの結果でした。

テンプレートをさらに修正、Φ(0) 67dB τ1は0.35、τeは7、φ1は0.15にすればもう絶対です。最終的なテンプレートができました。

トイレ流水音の音源データ
wc2.wav(44.1kHz / Mono / 18sec / 1.51MB)

上記 wc2.wav の部分をクリックすると再生することができます。また、マウスの右ボタンでクリックしてメニューを出して、その中から「対象をファイルに保存」を選択実行すればダウンロードすることができます。ダウンロードしたファイルをランニングACFでwaveファイルのまま、読み込んで同じ実験を行うことができます。

 

December 2002 by Masatsugu Sakurai